『ランダム 存在の確率

Coherence

 

2013年 アメリカ [88分]
監督:ジェームズ・ウォード・バーキット

製作:レーヌ・バウセガー

脚本:ジェームズ・ウォード・バーキット

撮影:ニック・サドラー

キャスト:エミリーバルドーニ/モーリースターリング/ニコラスブレンドン/エリザベスグレイセン 他

 

[解説]

彗星が接近した夜に集まった若者たちに起こる奇妙な現象を巧みな脚本で描き、シッチェス映画祭で脚本賞と審査員賞を受賞したSFスリラー。ミラー彗星が地球に最も近づく晩、8人の男女がホームパーティを開いていた。彼らが彗星の話題で盛り上がっていると、停電が発生し部屋の中が真っ暗になってしまう。外の様子を見に行った8人は、自分たちと全く同じ人々が、全く同じ家でパーティを開いているという信じがたい光景を目撃する。出演は、「スモーキン・エース」シリーズのモーリー・スターリング、「サイコ・ビーチ・パーティ」のニコラス・ブレンドン。監督/脚本は、本作が長編初作品となるジェームズ・ウォード・バーキット。2015年1~2月、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2015」上映作品。(eiga.com)

 

 不条理SF的な増殖テーマの、セリフ劇ですから、やりようによってはワンシチュエーションの舞台劇に使える脚本です。SF的なのは彗星なんたらと怪現象とかに"シュレーディンガーの猫"を引用する台詞回しから、具体性はないものの"そこにあるらしい複合世界"を持ってきています。観念的なSFとでも言えるのかしら。

 ちょっと既視感あるのは、先日もあった男女何組かのカップルのお話の続きみたいに似た設定の映画が、増えているからではないかと思います。

 

●登場人物

エム♀:ヒロイン

ケヴィン♂:夫

マイク♂:リーの夫

リー♀:パーティー主催

ヒュー ♂:ベスの旦那

ベス♀:お薬調合女

アミール♂:ローリーを同伴

ローリー♀:ケヴィンの元カノ

 

 例によってWho's Whoの把握から、このグループを大雑把に理解しますが、この映画のストーリーは主に会話の中で"彗星の影響"で全ての異変が起きているとされていますが、観念的哲学的な男女の登場人部の説明と、メンバー一人の弟の物理学者でヒントとなる"シュレーディンガーの猫"を伝言の形で伝えただけなので、観客にある程度以上のそう言う科学オタク的な興味(理解できなくても構わないが)を喚起します。

 例えば仏教を語るのに、マインドがあればべつに般若心経の暗記は不要ですよね。

 そして全員のスマフォが"彗星の影響"で壊れたあとに起きた事を、三々五々選抜メンバー入れ替わりの「様子を見に行く」を繰り返して、無理くりデコに怪我したり写真を撮ったり秘密の箱に何か入れたりと、おっかなびっくり"灯りの見えるそっくりな家"の報告をします。

 

 そんなようなことと、むっちゃ低予算のこの映画では、まだるっこしい芝居(ケミカルライトの発光の違いとか手紙の再現とか)で、ムツカシイ理屈を説明する訳で、混乱させます。これ、製作側が本当に理解できてるのかもアヤシイ(笑)

 訳の解っていない現象を、あまり解っていない連中があれこれ推理する台詞劇を、これまたあまり解っていない観客が「??」という映画です。

 視覚的なアクロバットが無いので頭の中でモヤモヤしてください。

 

 ひとりヒロインだけが思い切った行動を取って、自分の思う世界を確立しようとしたところで映画は終わります。

 どうなったんでしょうね(笑)