『ミラージュ』

Mirageman

 

2007年 チリ/アメリカ [90分]
監督:エルネスト・ディアス=エスピノーサ

脚本:エルネスト・ディアス=エスピノーサ

編集:エルネスト・ディアス=エスピノーサ

キャスト:マルコサロール/マリアエレーナスウェット/アリエルマテルーナ/マウリシオペスティク 他

 

[STORY]

クラブの用心棒マコ(マルコ・ザロール)は、強盗に襲われ両親を惨殺された過去をもつ男。唯一の家族、弟のチトはそのショックで心を閉ざし、現在入院療養中。愛する弟の治療費と生活費を稼ぐため、クラブのオーナーからの嫌がらせに耐えながら、毎日一人黙々とトレーニングを続けるマコだったが、ある日、日課のジョギング中に偶然強盗団が押し入る現場に遭遇する。とっさに強盗のマスクを奪って顔を覆い強盗団を撃退、襲われていた住人女性を救う。そのまま顔を見せずにその場を立ち去ったマコ。 次の日、ワイドショーでは「覆面ヒーロー、強盗を退治!」のニュースで大騒ぎとなる。マコが助けた女性は人気美人TVレポーター、カロルだったのだ。チトもニュースを見て大喜び。覆面ヒーローのマネをして少しずつ心を開いていく。 その様子を見たマコは、弟のために一大決断をする。お手製の覆面をかぶり、「ミラージュマン」と名乗って街に巣食う悪者たちと戦うことを決意する。決して素性を明かさない「ミラージュマン」。彼のマネをしてヒーローを名乗る者まで出てくるなど、一躍時の人となるマコ。ミラージュマンとして、カロルともいい雰囲気になっていくのだが…。(Amazon)

 

 下半期Amazonのトレンドは『マスクドシンガー』でしたっけ。なんか盛んにやってますね〜。

 

 マスクはマスクでも本作は、希少なチリ製作のお手製ヒーローものということです。この手の映画ってメジャーからマイナーまでたくさんあります。特に政情不安な不正政治なんかが横行する南米や東南アジアの国を舞台にしたものが多いのも、それだけ"救い"を必要としているからでしょう。ただし正義感はあっても所詮は素人ですから、そこら辺のグダグダ感がこういうストーリーの魅力かもしれないですね。

 メジャーの有名どころでは傑作『キックアス』が市販品のマスクドスーツを改造します。かの『スパイダーマン』だって次第に洗練される訳で、主人公の創意工夫でその気になって最初はボロボロになる『スーパー!』や『ローライフ』とか『グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー』『ケルベロス 紅の狼』など正体を隠す匿名性が、自警団活動には強力なアイテムですよね。

 

●登場人物

マコ♂:我流で格闘技を身につけた主人公

チト♂:心を病んだ愛する弟

カロル♀:TVのリポーター

フアン・モリ♂:誘拐組織ペド・レッドを追う刑事

チンピラども♂:

ペド・レッドの構成員たち♂:

偽ロビン♂:バイク提供するから相棒にして

 

 本作では十代の弟チトと違って絵心とセンス皆無の青年主人公マコが、考えた挙句イベント衣料専門店からごっそりダサい既製品を買ってきます。戦闘スキルは自室にこもって手製の木人椿(もくじんとう:人型をした訓練具)のトレーニングでイメトレは身についても、独自のヒーロー像は描けていません。ああ俺も絵が描けたらな(笑)

 

 クラブの用心棒みたいな仕事でとりあえず食べ、漢に犯された心的外傷で入院中の弟チトを支え、一日中鍛えた体で世の中の役に立ちたい、というもやもやを抱えている寡黙で何を考えてるか解らないタイプのマコが偶然遭遇した強盗/性的暴行事件で助けた女性リポーターカロルは、有り難いと思うと同時にカッコ悪いコスチュームは辞めてねと言い、あなたの正体を知りたい素顔を見たいと思います。

 

 で、ひったくりや細かい軽犯罪の撲滅に邁進するマコは、グダグダ着替えに手間取り(情けなくて笑えます)ながらも、格闘技になると一発撃破の結構強いスキルを見せます。これで手際よかったら拍手ものだけどそうはいかない(笑)

 

 で、本業はどうやらセクシーモデルらしいレポーターのカロルは、どうしてもこのミラージュマンの正体を特ダネにしたいと、やらせの拉致事件を仕込み、素顔映像を取り損ない信頼関係が崩れるという。もう誰も信用できないという刹那、刑事のフアン・モリがサポートするから誘拐組織の撲滅に協力せいと言ってくる。←おいおい警察が手伝わせるんかい(呆れ)

 

 まあ、なんやかやヘタれながらも頑張るマコには声援ですわ。幕切れは本当の生還かチトの見た幻かどうかという希望を残します。