『バーレスク』
When cows fly
2019年 チェコ [83分]
監督:テレザ・コパーコヴァ
キャスト:エヴァ・ハクロヴァ/サビーナ・レムンドヴァ/スタニラフ・マイエフ 他
[あらすじ]
バーレスク(burlesk)は猥雑な劇と女性のストリップを含むショー。体型コンプレックスを抱えている小学校教諭のベティ(エリザベス)の鬱屈した日常の捌け口は、動画のバーレスクの踊り子を重ね、はちきれた肉体にスポットライトを浴びる妄想。学内で問題児を巡る窮地から逃げ、友人を通じてインストラクターの指導を受け、精神と肉体の開放を味わうまでのヒューマンペーソスコメディ。
世間の美の標準が"痩せぎすのモデル体形"とする風潮に、独自の女性目線でコンプレックスの深層心理に大胆に踏み込んで行きます。
てか、今どきの腰の細い女子は、生物の繁殖ということを考えると、とても丈夫な子供を育てられない危うさがありますよね。そりゃ若いうちなら男子もスマートで華奢な女性に迷ったりもするんでしょうが、過食症までいかなくともある程度肉付きのいいおっかさん体形は見ていて安定感があります。
まぁ、人の好みは様々なので、デブ女いやふくよかな女性も、欲望の対象にはなるんでしょう。エロティックな動画もデブ専と呼ばれる括りがありますもんね(ゴホン)
関節が軋むほどのカカシ体系の小尻娘より適度な筋肉と脂肪に覆われたなだらかなカーブは、たしかに魅力あります。(そのくせいろいろ目移りするのだから殿方は贅沢ではあります)本作のヒロイン役エヴァ・ハクロヴァは確かにデブ基ふくよかですがそれ以外はむしろ顔立ちなど美しい部類だと思います。
●登場人物
・エリザベス・バコヴァ♀:肥満体型の小学校教師
・マザー・バコヴァ♀:厳格な校長
・スティーブン・スヴォボダ♂:問題生徒
・スヴォボダ氏♂:町の教育長
・ロッタ♀:バーレスクを学ぶ友人
・サローム♀:スタジオインストラクター/妊婦
小学校で働くエリザベス(ベティ)は、かなりふくよかな自分の身体にコンプレックスというか僻みがあるので、さらにだぼっとした体型を隠す服を着て過ごしています。それでも口にきぬ被せない児童からは体型をバカにされることもしょっちゅう。
だからべつの世界の"本当の私"に憧れますがそんなものはありません。友人のロッタ(ベティの半分に見えるボリュームしかない)のレッスンに混ざっていると、バーレスクのスタジオ主宰の知人らしいインストラクターのサロームという、痩せていても妊娠中のためポッコリ突き出したお腹の相通じる容貌とダンス指導の奇妙さに、なんとなく惹かれるし、連んでいればオーディションの話題などが出て、おそらく自分の中でステージに立つ快感を妄想するんでしょうね。学校に戻れば教育長の息子スティーブン(屈折してるのでひねくれています)のちょっと厄介な問題に触れるうちに、この子も自分ではどうすることもできない身体の悩みに心を開けないでいると悟るんですね。多分肌で感じるというヤツ。
校長である母親は孫悟空を手玉にとっている菩薩のように、一見自由にさせているように見えその実ベティの行動や生活をほとんど支配してるんじゃないかと思います。だから反抗はすれど、為すがままに潜在的支配に甘んじて、唯一反抗できるのが教師の立場で背徳的にバーレスクの扇情的なダンスを"やり遂げる"ことなのかも知れません。
ちょっとヴォリュームありすぎの、だぶついた(そう見せている)肌を露出する映画前半から、次第に「これくらいなら微妙に色っぽいから赦せる」エロスが、ダンスの上達や実際の欠員補充のためのスタジオのオーディションにも眼に止まるようなエロスの質の変化に気がつきます。
厄介なスティーブンとの関係も、教育機関から追い落とそうとするスヴォボダ氏より、本人に曝け出す勇気をと伝わり、意外なメールをもらいます"牛は空を飛んだ"
なかなか変わったチェコ映画でした。
