手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく

 

 

2011年製作/111分/G/日本
監督:森下孝三

原作:手塚治虫

脚本:安田玲子

音楽:大島ミチル

美術:行信三

キャラクターデザイン/総作画監督:真庭秀明

アニメーション制作:東映アニメーション

キャスト:吉永小百合/堺 雅人/観世清和/吉岡秀隆/折笠 愛/竹内順子/玄田哲章/水樹奈々/櫻井孝宏/観世三郎太/黒谷友香 他

 

[解説]

手塚治虫が10年の歳月をかけて描きあげた名作コミック「ブッダ」をアニメ映画化した全3部作の第1弾。声優陣には吉岡秀隆、吉永小百合、堺雅人ら豪華俳優が結集する。舞台は2500年前のインド。世界の王になると予言されたシャカ国の王子シッダールタは、思春期を迎え、厳しい階級社会に疑問を抱くようになる。そんなとき、強大なコーサラ国がシャカ国に侵攻してくる。そこでシッダールタは、コーサラ国一の勇者と呼ばれる青年チャプラと出会う。(eiga.com)

 

 原作が大傑作だからといって、映画化がすんなり行くものではないのは皆さんよーくご承知のことと思います。それもこの作品のように、最初から三部作にする企画であっても、妥協やさまざまな大人の事情+配慮などで残念な物になってしまうことはよくあることです。

 

●登場人物

チャプラ♂

チャプラの母♀

ズッドーダナ王♂

シッタルダ♂

ブダイ将軍♂

バシタカ♂

タッタ♂

ナラダッタ♂

ミゲーラ♀

マリッカ女王♀

ジョーテカ♂

マーヤー妃♀

パジャパティ妃♀

ヤショーダラ妃♀

アシタ♂

 

 簡単に解釈すると天才が10年かけて練り上げた珠玉の名作も、たった三部作にまとめあげようとしたから、時空列は狂うわ辻褄が合わなくなるわ人物が薄っぺらになるわ、全編の1/3は戦闘または殺戮シーンになるわ、原作者がもっとも重みと心を込めたシーンは上っ面になるわ、盛り上げるための劇判演奏は耳につくわ。動物の体に心をのせ、離脱する瞬間その動物の命は絶たれるんですが、そのへんも命の重みを大切にしている手塚治虫作品と名乗るのもおかしいでしょう。タイトルに冠つけるのはおこがましい感じです。赤い砂漠も出ては来ません(笑)

 

 アニメーションとしても雑な扱いのカットも多く、キャラデザインも手塚治虫の丸っこい線の生きたメイン系とその他大勢系との落差が大きく、その上この時期の東映アニメーションスタジオの総合的な力量も関係して、かなり不満があり、声優関係と実写の名優と何故だか観世流の師弟までまぜこぜで、ん〜どうなんだろうな〜と首を傾げます。

 

 原作ファンとアニメファンのどちらにとっても、決して満足のいく出来ではないと思います。特にアニオタの皆さんは、俳優さんのアテレコは嫌いらしいですし、原作者手塚治虫のモノクロームの線の世界は、このフルカラーアニメーションより色を感じることは確かです。

 

 但しかつて手塚治虫氏の率いる虫プロダクションは、毎週30分の『鉄腕アトム』の製作で、窮地にあったアニメーション業界の労働条件をさらに追い詰めてしまった経緯があり、宮崎駿が天敵と嫌ったという批判を何度も聞きました。だから珠玉の原作が大人の事情によってどんな風になっても、因果応報ではありますが、観客としてはとても残念でした。