『誰もがそれを知っている』

Todos lo saben

 

2018年 スペイン/フランス/イタリア [133分]
監督:アスガー・ファルハディ

製作:アレクサンドル・マレ=ギィ/アルバロ・ロンゴリア

脚本:アスガー・ファルハディ

撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ

美術:クララ・ノタリ

衣装:ソニア・グランデ

編集:ハイデー・サフィヤリ

音楽:ハビエル・リモン

キャスト:ペネロペ・クルス/ハビエル・バルデム/リカルド・ダリン/エドゥアルド・フェルナンデス/バルバラ・レニー/インマ・クエスタ/エルビラ・ミンゲス/ラモン・バレア/カルラ・カンプラ/サラ・サラモ/ロジェール・カサマジョール/ホセ・アンヘル・エヒド 他

 

[解説]

「別離」「セールスマン」でアカデミー外国語映画賞を2度受賞しているほか、カンヌやベルリンといった国際映画祭でも高い評価を受けているイランの名匠アスガー・ファルハディが、スペインの田舎町を舞台に全編スペイン語で撮り上げたミステリードラマ。主演をペネロペ・クルスとハビエル・バルデムが務め、実生活で夫婦の2人が共演した。アルゼンチンで夫と2人の子どもと暮らすラウラが、妹アナの結婚式に出席するため、故郷スペインの小さな村に子どもたちを連れて帰ってくる。地元でワイン農園を営む幼なじみのパコや家族と再会し、ともに喜ばしい日を迎えるラウラたちだったが、結婚式のアフターパーティのさなか、ラウラの娘イレーネが姿を消してしまう。やがて何者かから巨額の身代金を要求するメールが届き、イレーネが誘拐されたことが判明。それぞれが事件解決のために奔走するなかで、家族の間にも疑心暗鬼が広がり、長年に隠されていた秘密があらわになっていく。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(eiga.com)

 

家族が何かで集まってわやくちゃになる映画この間もなんか見ました。身内のゴタゴタが原因でしたが、あれもラテン系でしたけど(笑)

 

こちらの映画はファーストカットの教会の鐘楼時計の、びっくりする"時の鐘"の音に続く、新聞切り抜きの手元で、ハッキリと何者かによる犯罪の香りがしてきて、それに続くはるばるアルゼンチンからスペインに駆けつける親族と古びた石畳のロマンティックな街並みに、只ならない胸騒ぎを感じます。

 

姪にあたるジョアンの結婚式に呼ばれラウラは17歳のおてんば娘イレーネとチビ助のディゴと本国を訪れ式を終えパティオでの宴の最中、停電が起こりその間に部屋にいた筈のイレーネの姿が見えなくなり、施錠された部屋から、この地方で過去にあった少女誘拐事件の切り抜き記事が残され、これが誘拐事件だとの犯人からのメッセージと判ります。

 

若気のいたりでラウラと葡萄農場のパコは過去に村中で噂される恋人同士で、地主の娘ラウラと小作人の息子パコとは、要するにロミジュリといった立場で幼馴染みの恋人同士でも結ばれはせず別の人生を歩んで、この結婚式の参列で久々に対面し、事件に遭遇したため、元カレとして相談と捜索に協力するというお話です。

 

登場人物が多いので人間関係を確かめるのにいささか時間が掛かりますが、要はラテンのハレの明るさに比して、複雑な人間関係と"家族"に秘められた問題と立場の主張が大きく影響し、意外な人物がこの事件の首謀者だったという謎解き要素もあるので、結婚式の記録ビデオから真相が判り始める辺りまでは興味深く観れました。

 

ラテン系のお嬢さん方は、主演のペネロペ・クルスはじめとして皆さんとても魅力的なので、華やかでいいですし、始まりが結婚式というハレの舞台なのも、後々の家族たちの軋轢や苦々しさと、スリルに繋がって来ますね。なかなか見ごたえのあるクライムサスペンスでした。