『ザ・ボート』

THE BOAT

 

2018年  イギリス/マルタ共和国  [89分]

監督:ウィルストン・アゾパルディ

脚本:ウィルストン・アゾパルディ/ジョー・アゾパルディ

キャスト:ジョー・アゾパルディ

 

[STORY]

いつものように島から舟に乗り込み、海へと漁に出た男は、突然分厚い霧の中に飲み込まれる。あっという間に自分の位置がわからなくなってしまったうえに舟の故障で立ち往生する。なんとか島に戻る術を模索するなか、放棄されたボートに出くわす。放棄された船舶を港湾監理局に通報するために、そのボートに乗り込み操縦をしようとしたそのとき、まるでボートは意思を持ったかのように動き出し男を船内に閉じ込めてしまう・・・。果たして男の運命は?無事に島に戻る事ができるのか!?(YOUTUBE)

 

奇妙は奇妙なんだけど、何も示されないから海洋ホラーとしてのジャンル分けもちょっと二の足を踏んじゃう、製作者(アゾパルディ兄弟)の独り善がりが強いなー、と思っちゃう短編。全体に何も起こらない退屈さがコワイかも知れません(笑)。

 

まー、ちょうどやたらに喧しすぎるやつ、の後に観ましたから、これは静かでよく眠れるかも(笑)。マルタの島が静かすぎるくらい静かで、『紅の豚』のポルコの隠れ家を連想させる、崖と洞窟の入り江が、いいロケーションですが、映画自体に他にこれと言って魅力がなくて、起こっている怪異にもなにかしら理由が想像できる訳でなし、いささか不親切で自分勝手かなと、感じざるを得ません。

 

それにしてもこの兄さん、まーよく理由もなく閉じ込められること、一度目はトイレ、終わりの方ではキャビン前室の狭い物入れ。何者かの意思とか匂わせるでもなく只、扉が開かないっていうのは、こちらの想像力も働かせようがなくて、ずいぶんと芸が無くない?

 

そんなように、ひたすら静かに物事が進むので退屈で全くダメ映画かというと、少しだけはいいところもあって、鮫の群れ急襲と見せてイルカというのは、他のシーンと違い、夜の海という色違いのワンポイントにはなっているのかなと(イルカって夜起きてましたっけ(笑)ま、いいや)。

 

結局この漂流船"アイオロス(AEOLUS)"についての謎の欠片も示されていないのは、観客無視の独り善がりと思われても仕方がないですね。せっかくギリシャ神話に因んだネーミング持って来ても名前だけで、関わった者の運命であるとか、この船の因縁とか(こういうのは新聞記事とかニュース音声とかでも示せる)因縁が何にもなくただそこに漂っているという、弱いうす気味悪さだけではね。