『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
I, Tonya
 
2017年 アメリカ [120分]
監督:クレイグ・ギレスピー
製作:ブライアン・アンケレス/マーゴット・ロビー/トム・アッカーリー
製作総指揮:レン・ブラバトニック/アビブ・ギラディ/クレイグ・ギレスピー/ヴィンス・ホールデン/トビー・ヒル/ザンヌ・ディバイン/ローザンヌ・コーレンバーグ
脚本:スティーブン・ロジャース
撮影:ニコラス・カラカトサニス
美術:ジェイド・ヒーリー
衣装:ジェニファー・ジョンソン
編集:タチアナ・S・リーゲル
音楽:ピーター・ナシェル
音楽監修:スーザン・ジェイコブス/ジェン・モス
キャスト:マーゴット・ロビー/セバスチャン・スタン/アリソン・ジャネイ/ジュリアンヌ・ニコルソン/ポール・ウォルター・ハウザー/マッケンナ・グレイス/ボビー・カナベイル/ケイトリン・カーバー/ボヤナ・ノバコビッチ/アンソニー・レイノルズ 他
 
[解説]
アメリカ人のフィギュアスケート女子選手として初めてトリプルアクセルに成功し、1992年アルベールビル、94年リレハンメルと2度の冬季五輪にも出場したトーニャ・ハーディングのスキャンダラスな半生を、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で一躍世界的にブレイクしたマーゴット・ロビー主演で描いたドラマ。貧しい家庭で厳しく育てられたトーニャは、努力と才能でフィギュアスケーターとして全米のトップ選手への上り詰めていく。92年アルベールビル五輪に続き、94年のリレハンメル五輪にも出場するが、92年に元夫のジェフ・ギルーリーが、トーニャのライバル選手を襲撃して負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を引き起こしたことから、トーニャのスケーター人生の転落は始まっていた。プロデューサーも兼ねてトーニャ役で主演したロビーは、スケートシーンにも挑戦。母親役のアリソン・ジャネイが第90回アカデミー賞の助演女優賞を受賞した。元夫のジェフ・ギルーリー役は「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタン。監督は「ラースと、その彼女」「ミリオンダラー・アーム」のクレイグ・ギレスピー。(eiga.com)
 
実話ものです。しかもインタヴュー仕立てで、記憶にも新しい「ナンシー・ケリガン襲撃事件」にまつわる其々の証言を描くのですが、立場により食い違う証言もの(これを英語でもRashomon(羅生門)スタイルと呼ぶらしい)黒澤明監督は、さすがに偉大なんですよね。
 
母親ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)がイイです。アメリカンドリームをトーニャに強制する訳ですが、それは貧困からの脱出をスケートのことしか興味を示さない娘への愛のムチ「やるんなら徹底しろ!」って言うことなんでしょうが、そのリンクの鬼度合いを見ると、フィギュアスケートをイイとこの娘にやらせるっちゅー世間の常識めいたものへの挑戦で、自らはベテラン(笑)ウェートレスの稼ぎを全てスケートのレッスンにつぎ込む(それには娘の才能を発見する眼がある)むしろチャラチャラしたフィギュアスケート界のうわべの上品さにファックユーと思っている訳です。
 
Rashomonスタイルとは言え今風に、自虐や自己ツッコミをしてくれるんで、暴力夫にトーニャが銃をぶっ放しながらカメラ目線で「アタシは打ってないからね」なんて台詞が出てきたりしますから、ちょいと吹き出します。
 
マーゴット・ロビーは先日観た『アニー・イン・ザ・ターミナル』や『スーサイド・スクワッド』のぶっ壊れ振りとは、また違った悶々とした仕方のないトーニャを演じます。
幼少のトーニャは『ギフテッド』のマッケンナ・グレイスですが、マーゴットのキツさとは違う、思いっきり悲しそうに泣くのが愛おしい。ほんと可愛いですね(コホン)
 
ラストのリンクならぬボクシングのリングでノックアウトされ、マットに吐き捨てた血反が最高にカッコイイ!