- 『ブリムストーン』
- Brimstone
- 2016年 オランダ/フランス/ドイツ/ベルギー/スウェーデン/イギリス/アメリカ [148分]
- 監督:マルティン・コールホーベン
- 製作:ウーベ・ショット/エルス・ファンデボルスト
- 脚本:マルティン・コールホーベン
- 撮影:ロジェ・ストファーズ
- 衣装:エレン・レンス
- 編集:ヨープ・テル・ブルフ
- 音楽/ジャンキー・XL
- キャスト:ダコタ・ファニング/ガイ・ピアース/エミリア・ジョーンズ/カリス・ファン・ハウテン/キット・ハリントン 他

[解説]
「メメント」のガイ・ピアースと「17歳のエンディング・ノート」のダコタ・ファニングが共演し、時代と信仰に翻弄されたひとりの女性の生きざまを描いた西部劇スリラー。小さな村で助産師として働く女性リズ。年の離れた夫や2人の子どもたちと幸せに暮らしていたが、ある事情から言葉を発することができずにいた。そんなある日、鋼のような肉体と信仰心を持つ牧師の男が村にやって来る。牧師から「汝の罪を罰しなければならない」と告げられたリズは、脳裏に壮絶な過去をよみがえらせ、家族に危険が迫っていることを伝えるが……。共演に「海賊じいちゃんの贈りもの」のエミリア・ジョーンズ、「ブラックブック」のカリス・ファン・ハウテン、テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン。オランダの名匠マルティン・コールホーベンが監督/脚本を手がけた。(eiga.com)
生きるのがキツい開拓時代のアメリカ西部、オランダ人移民の村で牧師の娘ジョアナが主人公の西部劇ですが、映画の構成が4章に分けられていまして、苦手な聖書の1)啓示 APOCALYPSE 2)脱出 EXODUS 3)起源 GENESIS 4)報復 RETRIBUTIONとしてあり、時系列も実際は3(発端)→2(そのちょっと前)→1(もっと昔)→4(発端のちょっと後)となっています。
なぜ苦手かというと、多くは内容まで聖書の章になぞらえたものになってしまうからで、敬虔な無神論者には向いていないのです(笑)。
ジョアナが言葉を発しない第一章のリズと名乗ることになるエピソードは第二章 EXODUSとして、さまよいの果て売春婦になってしまうエピソードで語られ、身請けをされる直前に死んだ本当のリズの身代わりになるため舌を無くし(凄すぎます)身を潜めます。その切っ掛けは彼女を狙って売春宿を借り切った壊れた牧師(ガイ・ピアース)の元から逃れるためだったのが語られます。実の父親なんですよ、牧師は。そしてその時牧師はジョアナに喉を切られて絶命したはずなので、第一章に出てくる執拗な牧師は、もしかしたら"人ならぬもの" かもという解釈も出来ます。
第3章GENESISとして語られるのは牧師がジョアナを求める原因は、妻が情交を拒んだことで倦怠期の夫婦にはありがちなことなのですが、牧師はオランダ人移住者に、神の代弁者としてあらねばならない重圧があって、壊れたという解釈でいいのかと思います。
壊れているから妻がヤらせてくれないなら自分の所有物の娘とヤるんだって、すでに鬼畜のエロ親父化してますから、口のきけない助産師リズに我が娘ジョアナを見つけたら、ヤらねば神の意志に背くとばかりの壊れっぷり。おまけに恐ろしいことに"リズ"の歳上の夫まで亡き者にしてしまうのです。だから神なんて信用できない。救いなんて無いじゃないですか。
幼少(13才)のジョアナはエミリア・ジョーンズが演じていますが、折檻が痛々しいです。あ、ダコタとの繋がりは雰囲気が近いので自然です。それにしても、ガイ・ピアースの怪演怖いです。
開拓時代にも宗教は救いになってなかったんだよね、って人格が壊れた牧師を見ていて感じました。今さらながら、宗教って何なんだろうって思います。