『密 偵』
The Age of Shadows
 
2016年 韓国 [140分]
監督:キム・ジウン
製作:チェ・ジェウォン
脚本:イ・ジミン/パク・ジョンデ
撮影:キム・ジヨン
美術:チョ・ファソン
衣装:チョ・サンギョン
編集:ヤン・ジンモ
音楽:モグ
出演:ソン・ガンホ/コン・ユ/ハン・ジミン/鶴見辰吾/オム・テグ/シン・ソンロク/ソ・ヨンジュ/チェ・ユファ/フォスター・バーデン/パク・ヒスン/イ・ビョンホン 他
 
[解説]
韓国を代表する実力派俳優ソン・ガンホと、「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユ主演し、「悪魔を見た」のキム・ジウン監督がメガホンをとったサスペンスアクション。日本が統治する1920年代の朝鮮半島。武装独立運動団体「義烈団」監視の特命を受けた元朝鮮人の日本警察イ・ジョンチュルは、義烈団のリーダーであるキム・ウジンに接近する。誰が密偵かもわからないほど、さまざまな情報が錯綜する中、義烈団は日本統治下の主要施設を破壊する目的で京城に爆弾を持ち込む計画を秘密裏に進めていた。義烈団と日本警察のかく乱作戦が展開し、義烈団を追う日本警察は上海へと向かう。そして、計画通りに爆弾を積んだ列車が京城を目指して走り出していた。日本警察イ・ジョンチュル役をソン・ガンホが、義烈団のリーダー役をコン・ユが演じるほか、日本から鶴見辰吾が参加し、イ・ビョンホンも出演している。(eiga.com)
 

イ・ジョンチュルが仕えていたものは大日本帝国当時の総督府の仕切る日本警察であり、李王朝が定めた"国家"の枠からはみ出ることはなく生活が成り立っていたのだから、それを守って行く使命だったと思います。東(鶴見辰吾)の忠実な配下として武装独立運動団体「義烈団」監視の任にありながらも心の中は朝鮮族という自らの血に忠実でありたかったに違いありません。

 

だから、政治と血との狭間にあって義烈団の幹部と触れ合ううち、感化されて片方を裏切る結果になっても、恐らく彼の責任ではないでしょう。ただし日本警察である以上、手のひら返しは生命の危機に直結しますから、何度も葛藤し振り払いつつ、結論を引き伸ばしたのは人としての良心が自問を繰り返していたからなのではないかと思います。テロを目論む義烈団のリーダーとの関係は、東に気づかれてはならないもので、密偵を使いつつ皮肉なことに自ら密偵の役割を自然に請け負っていたことに気付くまで、何度もなんども逡巡したのに違いないでしょう。

 

韓国映画は長尺物が多く、本作もだからか2/3くらいまでは

立場がグレイに見えるジョンチュルなのです。終盤にかかると彼の本意が顔を出します。民族の血に響いた独立運動の芽は、彼を通じて形を成します。

 

『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』という映画と似たシーンがあるのは、同じメッセージがあるからでしょうか?但し爆破シーンのパーティーサロンのセットは、やたらに狭苦しく小さな空間でした。他で予算が潰えてしまった訳ではないでしょうが(そのくらい全体に大掛かりなセットを使った印象の大作です)。

日帝時代の李王朝最後の皇女 李徳恵を描いた映画はこちら。