『ゴールド 金塊の行方』

Gold

 

2017年 アメリカ [121分]

監督:スティーブン・ギャガン

製作:マシュー・マコノヒー/パトリック・マセット/ジョン・ジンマン/テディ・シュワルツマン/マイケル・ノジック

製作総指揮:ボブ・ワインスタイン/ハーベイ・ワインスタイン/デビッド・C・グラッサー/デビッド・ボーイズ/ダニエル・ステインマン/ポール・ハギス/リチャード・ミドルトン/ベン・スティルマン

脚本:パトリック・マセット/ジョン・ジンマン

撮影:ロバート・エルスウィット

美術:マリア・ジャーコビク

衣装:ダニー・グリッカー

編集:ダグラス・ライズ

音楽:ダニエル・ペンバートン

音楽監修:リンダ・コーエン

主題歌:イギー・ポップ

出演:マシュー・マコノヒー/エドガー・ラミレス/ブライス・ダラス・ハワード/コリー・ストール/トビー・ケベル/クレイグ・T・ネルソン/ステイシー・キーチ/ブルース・グリーンウッド 他
 
[解説]
「インターステラー」「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒーが、1990年代に株式市場に大混乱をもたらした、通称「Bre-X事件」を自身の製作、主演で映画化した犯罪サスペンス。鉱山事業に失敗し、破産寸前に追い込まれた金鉱採掘者ケニー・ウェルズは、謎めいた地質学者と組み、インドネシアの山奥で巨大金脈を発見する。一攫千金の夢を成し遂げたケニーは一躍時の人となるが、170億ドルの金塊が一夜にして消えたというニュースが飛び込んでくる。マコノヒーが徹底的な役作りで主人公のケニーを演じるほか、「ガール・オン・ザ・トレイン」のエドガー・ラミレス、「ピートと秘密の友達」「ジュラシック・ワールド」などで知られるブライス・ダラス・ハワードらが出演。イギー・ポップが書き下ろした主題歌「GOLD」は、第74回ゴールデングローブ賞主題歌賞にノミネートされた。監督は「シリアナ」「トラフィック」のスティーブン・ギャガン。(©eiga.com)
 
人の欲とは全く限りがなくて、誰から見ても裕福な方でも満たされないのかも知れませんね。一攫千金、一山当てる、大儲け。更なる誘惑はいつでも脇に控えてるみたいです。
 
どれだけ金持ちでも、胃袋の大きさは知れていますし、生命維持のためならべつに味の善し悪しは、究極無関係ですから、余剰分でさも贅沢したような気分に浸るのは、優越感を持ちたいだけの事なんだろうなーと思います。アラブの石油大富豪が、無駄としか思えない壮大華麗な都市を作るのも、新興宗教などの神殿も、余剰が多すぎるから敢えて為される愚行なんでしょう。消費手伝うから少し下さい(笑)。
 
トレジャーハンターめいた主人公ケニーも、自分が特別の事をしているんだ、という暗示のなかで酔いしれているんでしょうね。探鉱者と呼ばれますが広く"山師"と呼ぶのはギャンブラーだからです。すっかり擦っちまったのに、次の台なら取り戻せるという暗示で、帰りの電車賃を注ぎ込むパチンコ中毒と同質の一種のトランス状態に加えマラリアの高熱から我に返ると、そこにとんでもないゴールドの大鉱脈を"遂に"見つけたんだと聞かされます。生きてて良かった。
この報告を枕許で聞かせるのは、自称地質学者のマイクで、ケニーの夢を正夢にする(かもしれない)心酔するような物語りの語り手だったのです。
 
この映画自体、実話にヒントを得た"インスパイアもの"なので、本当のような嘘あるいは嘘のような本当、はたまたそのどちらでもあり、またどちらでもないという、映画の内容との相似になっています。
マイクもケニーも相当な"山師"であり狂信的なギャンブラーで、またそのまことしやかな妄想がもたらす影響も、話がデカ過ぎそしてトリッキーなので翻弄されてしまいます。
観賞ている方もそれは同じで、二度観三度観でも、はたと考えてキツネにつままれタヌキに化かされたような気分になるかも知れませんね。
 
いい男さんがデブハゲづくりというと、『アメリカン・ハッスル』のクリスチャン・ベイルもやりましたが、本作のマシュー・マコノヒーも凄いです。そして両方とも詐欺師なのは、出来すぎかもしれませんね。