『幸せなひとりぼっち』
En man som heter Ove
 
2015年 スウェーデン [116分]
監督:ハンネス・ホルム
製作:アニカ・ベランデル/ニクラス・ビークストレム・ニカストロ
製作総指揮:フレデリク・ビークストレム・ニカストロ/ミカエル・ユルト
原作:フレドリック・バックマン
脚本:ハンネス・ホルム
撮影:ギョーラン・ハルベリ
出演:ロルフ・ラスゴード/イーダ・エングボル/バハー・パール/フィリップ・バーグ/カタリナ・ラッソン 他
 
 
これ、よ〜くわかります。主人公オーヴェ老人(ロルフ・ラスゴード)が頑固なわけ。終活年代が近づくと誰でもが、自分で培ってきた"規範"にそぐわない他人の行動とかが、やたらに目につく(笑)敵でなくとも、異質な論理と行動は認めたくない。だからひとりで窓を閉じたまま。
 
順風満帆で父に認められようとした刹那にあっさり庇護者を失う人生の悲哀を知った青年期。人生思い通りにはいかないらしい。そんな彼にもときめく恋もあり、幸せな日々も確かにあった。再び危難にあっても君と二人なら逆風に立ち向かえた。そんな積み重ねであった。愛妻ソーニャを失ってのちの空虚にはもう耐えられそうにない、あとは君についてゆくだけ、早く逝きたい。
 
首をくくろうとするタイミングで、周りで厄介ごとを持ち込む隣人たち。梯子借りたい、病院へ送れ、ボイラーが壊れた、子供の相手を頼みたい、猫が溝に嵌まってる。おちおちゆっくり死んでもいられない(笑)
オーヴェの気持ちはただただ平和な日々を目指したいだけ、異質はお前らの方だから、できる限りは主張は通させてもらいたい。決め事で自動車を通さないための生活通路を侵されるのを、ああそうですかどうぞとはいかない。阻止できなければ悪態をつくだけ。
揉め事を起こそうとしているのではなくて、守りたい平和の規範にそぐわない、最近の世の中は鼻持ちならない。
 
若い頃のオーヴェと出会うソーニャの笑顔、素敵です。ああこの人とならと思わせるに充分な、美しい女優さん(50年代の映画女優を思わせます)
 
こんな嫌われ爺さんの遺言は
"まともな教会で 出してくれ 私を認めてくれた人だけで 静かな葬式でいい”
当然ながら満席ですよ。
 
一つだけわからんのがオーヴェのクルマのこだわり。サーブもヴォルヴォもスウェーデンの名車。なんでサーブだったのか?
 
ああ、終活考え始めるかなぁ(笑)