『マリアンヌ』
Allied
 
2016年 アメリカ [124分]
監督:ロバート・ゼメキス
製作:グレアム・キング/ロバート・ゼメキス/スティーブ・スターキー
製作総指揮:パトリック・マコーミック/スティーブン・ナイト/デニス・オサリバン/ジャック・ラプケ/ジャクリーン・レビン
脚本:スティーブン・ナイト
撮影:ドン・バージェス
美術:ゲイリー・フリーマン
衣装:ジョアンナ・ジョンストン
編集:ジェレマイア・オドリスコル/ミック・オーズリー
音楽:アラン・シルベストリ
出演:ブラッド・ピット/マリオン・コティヤール/ジャレッド・ハリス/サイモン・マクバーニー/リジー・キャプラン/マシュー・グード 他
 
 
そういうジャンル分けがあるのかどうか知りませんが、ロバート・ゼメキス監督が贈る"ロマンティックスリラー"または"スパイロマンス"です。
この前観ていたブラピの映画といえば、気怠るすぎる係争中の妻(笑)の監督作でしたから、雲泥の差と言っては言いがかりでしょうか。うん、いい芝居を引き出されています。
 
脚本がよくて監督がゼメキスで、俳優はアカデミー賞級、きめ細かい視覚効果やCGの素晴らしさを加味すれば、見応えある傑作に"なってしまう"と言う好例ですよね。
メイキング映像を見れば、え?こんなところまでCGなのと驚きますし、どうしてもCGでしか描けない宇宙船なんかより、むしろこういう作品にこそ物語を支え世界観を確立するバックボーンとしての、有力なツールとして好ましいと思いました。
 
お話は英国付きのカナダ空軍諜報部の少佐マックス(ブラッド・ピット)が、レジスタンスの女戦士マリアンヌ(マリオン・コティヤール)との共同作戦で愛し合う夫婦として潜入し、ナチスの大使暗殺を成功させたあと、互いに惹かれ合うものが有り結婚して娘アナをもうけ、つかの間の幸せな家族の暮らしが、マリアンヌの正体がナチスの二重スパイと疑われたことで喪われる危機に直面する、という筋立て。
 
映画を映画らしくしている大掛かりなセットとCGとしては、モロッコの砂漠や駱駝まで往き来する町並み、空爆されるロンドンの夜景や、瓦礫の町並み、そして二人の愛が燃えあがる砂丘のシーン。
 
シトロエン11CVの狭い車室内をぐるぐる回るカメラアングルは数々の恋愛映画のそういうシーンへのオマージュなんだと思います。
​​​​​​何しろ外界は砂嵐、二人の世界はこんなに狭い。現実の戦乱の世界と個人としての愛し合う二人をへだてる薄い窓ガラス、小さなクルマ。これは映画史に残る名シーンの予感がします。
 
シトロエンの11CVという小型車は"トラクシォン・アヴァン"(前輪駆動の意味)というニックネームでわかるその名の通り、世界に先駆けてFWDを実用化した車で第二次世界大戦の頃の欧州を描いた映画でなら、よくお目にかかります。外観の特徴は、フロントのしゃくれたラジエターグリルに、逆V字型のクロームのモールがふた組。これはダブルシェブロンとも呼ばれ、シトロエンが開発した駆動効率に優れた"ヘリカルギア"を模したもので、現在もエンブレムにデザインされています。