『ある戦争』
KRIGEN

2015年 デンマーク [115分]
監督:トビアス・リンホルム
製作:ルネ・エズラ/トマス・ラドアー
製作総指揮:ヘンリク・ツェイン/レナ・ハウゴート/オリビエ・クールソン/ロン・ハルパーン
脚本:トビアス・リンホルム
撮影:マウユス・ノアンホフヨンク
音楽:スネ・ローゼ・ワグナー
出演:ビルウ・アスベック/ツバ・ノホットニー/ソーレン・マリン/ダール・サリム/シャーロット・ムンク 他

 

国連平和維持活動に派遣されたデンマーク軍の、兵士たちの苦悩が描かれます。どうしても南スーダンから無事帰還した自衛隊員の安堵を、想像せずには居られません。法改正で自衛隊員の武器使用規定が、より危険な任務への可能性が増した現在、政治家の詭弁で「後方支援だけ」「自衛隊の居るところが"非戦闘地域"だ」など、そうした言換えでもしなければ説明がつけられない戦地。

 

これはアフガニスタンでタリバンとの対戦闘行動を任務とし、派遣されたデンマーク派遣軍をモデルに描かれる。直面した事態は、地雷原であり民衆と見分けのつかないタリバンの戦闘員であり、タリバンに脅され国連軍との密通は一家族根絶やしのリスクさえある民間人。地の利を生かされた攻撃に支援要請された空爆による民間人への誤爆で、一人の兵士を救うための民間人十一名の犠牲という重い結果になってしまう。

 

そして戦地を離れ本国での、当時の指令の正当性をめぐる裁判で、陪審員が選んだ結果とは?

 

本当に『ある(フィクションの)戦争』であって欲しい苦々しい映画でした。