『リトル・ボーイ 小さな僕と戦争』
LITTLE BOY


2016年 メキシコ/アメリカ [106分]
監督:アレハンドロ・モンテベルデ
製作:レオ・セベリーノ/エドゥアルド・ベラステーギ/アレハンドロ・モンテベルデ
製作総指揮:エドゥアルド・ベラステーギ/ローマ・ダウニー/マーク・バーネット/エミリオ・アスカラガ・ジャン/ベルナルド・ゴメス・マルティネス/リカルド・デル・リオ・ガルソレス/ミッキー・オヘア/ショーン・ウォルフィントン
脚本:アレハンドロ・モンテベルデ/ペペ・ポルティージョ
撮影:アンドリュー・カデラゴ
音楽:ステファン・アルトマン/マーク・フォスター
出演:ジェイコブ・サルヴァーティ/エミリー・ワトソン/ケイリー=ヒロユキ・タガワ/マイケル・ラパポート/デヴィッド・ヘンリー/エドゥアルド・ベラステーギ/ベン・チャップリン/トム・ウィルキンソン/ケヴィン・ジェームズ/テッド・レヴィン/エイブラハム・ベンルービ/トビー・ハス/アリ・ランドー/キャンディス・アザラ/ルーカス・ベーンケン/ジェームズ・デュモン/デヴィッド・コリー/ジェームズ・マクドナルド/ローナ・スコット/メアリー・スタイン/尾崎英二郎 他


 

皮肉な事に、リトル・ボーイは広島に落とされた原爆のアメリカ軍の付けた愛称ですね。因みに長崎型の方はファットマンと呼ばれました。

 

主人公のペッパー少年は、自動車修理工場を経営するバズビーさん家の次男坊ですが、生まれつき身体が小さく発達障害があると思えます。だから、"リトル・ボーイ"

それ故パパ・バズビーは小さくても何でもできるという意味で、マジシャンのベン・イーグルが使う"出来ると思うか""もちろん出来るさ" というある種の呪文を刷り込みます。

 

時まさに太平洋戦争勃発で、アメリカの日系人たちもあるいは収容所に隔離され、アメリカに対する愛国心を試されたり、世間の偏見を背負わされたりします。バズビー家の長男ロンドンは、出兵年齢に達しはしたものの、扁平足で徴兵検査から弾かれてしまい、一家の主のパパ・バズビーが駆り出されてしまいます。戦争ってどの立場でも嫌なものです。

 

彼らのもうひとつの心の支え、教会のオリバー司祭様はこの一家の事も、友人である日系人ハシモトの事も、気にかけています。父の不在にペッバーはムービーシアターでベン・イーグルの実演付きの興行を観て、奇跡のマジックのステージでの実演にステージに上がり、念動力(もちろんトリック)を成功させて、元々純粋無垢なため、"僕にも出来るんだ"固くかたーく信じてしまいます。司祭様は"信仰の力は想いを叶えてくださる"司祭様から、信仰を強めるリストを頂きました。"ハシモトに優しくする"と書き加えて。

ハシモトは鬱陶しく付きまとうペッバーに自信を持たせるため、一人で元寇を追い返したとされる日本のサムライ"マサオ・クメ"の錦絵の物語(例により片寄ったヘンテコ東洋感すorz)を聞かせます。

敵視される日系人ハシモトにまで優しくしようとするペッバーは相変わらず大きな(普通の)子達に苛められるから、満身の力を込め呪文を唱え"気"を送り込むと地震が起きて騒ぎになり、マジックのステージで起きたことまで、自分の力だと思い込んでしまいます。

この頃(1944年)カリフォルニアで起きた地震の幾つかは、地下核実験由来だという説がありますから、そう言う事も含まれているかも知れません。

 

そんな純粋無垢ですから、戦争が終わればパパは帰ってくる、なんて単純に思います。毎日毎日太平洋を隔てた東洋の島に念を送り、戦争の終結を祈ります。それがヒロシマの原爆投下の新聞記事としてある朝、リトル・ボーイお前の力だと。悪夢です。

 

その上で映画はひとつの都市を消した悪魔の仕業を、ペッバー少年の悪夢と語りかけるのでした。パパの帰還はなおも困難を窮め、なかなか叶わないばかりか不吉な報せに(?)

 

小さなペッバーは戦争の時代を、叶わない想いと信じて生きることの中に垣間見て、成長して行きます。