『グランドピアノ 狙われた黒鍵』
監督:エウヘニオ・ミラ
主演:イライジャ・ウッド、ジョン・キューザック、ケリー・ビシェ、

冒頭、ピアノの名器ヴェーゼンドルファが運び出されクレーンに吊るされる中庭の風景。あおりのアングルになると、飛んできた旅客機と銅像の横顔で画面の構成がピタリと決まりすぎ。

どうやらそういう凝ったショットを楽しむタイプの監督さんのようだ。

先ずは「画」を楽しんでしまおう。

筋はというと、これがツッコミどころ満載。
だいいち主人公の若き天才ピアニストは、5年前の大事なコンサートでミスタッチで失敗、スランプから立ち直りかけ5年ぶりに演奏する。変だよね。
有名女優と結婚していてセレブなのに、先ほど画面を過った旅客機のエコノミークラスで移動している(笑)

ヴェーゼンドルファには秘密の仕掛けがあり、彼くらいの天才ピアニストでなければ演奏不可能なある曲を「正確に」弾かなければ仕掛けは開かない。

その彼にワンキーも間違わせない為に脅迫者が狙撃銃を構え、何処かに潜んでいる。

こんな、成立不能なシチュエーションを何となく見せてしまうのは、ひとつには格好いい画作りの見せ技があるからだと思う。

この映画を観ていて思い出したのは『ブラックスワン』主人公のダンサーもプレッシャーでオカシクなった脆い心の少女であり、本人さんたちが深刻になりすぎ、実は端で見ると滑稽なのだ。

ひらめき電球これがサスペンスコメディーと言うジャンルかも知れませんね(笑)。