第二の故郷を探して。5度目の宇都宮で、また餃子を食べすぎた話
人はなぜ、同じ街を何度も訪れるのだろう。美味しい食事があるからか。お気に入りの宿があるからか。それとも、まだ出会っていない誰かが、その街にいるからだろうか。2026年9月。私は再び、栃木県宇都宮市へと向かった。今回で5度目の訪問。しかも、実は前月の8月にも訪れている。なぜ、そこまで宇都宮に惹かれるのか。その理由を一言で説明するのは難しい。ただ、一つだけ確かなことがある。私はこの街に、第二の故郷を作りたいと思っている。第二の故郷という、少し変わった旅の目的旅行といえば、観光名所を巡り、名物料理を食べ、温泉に浸かる。もちろん、それも素晴らしい。しかし、私が旅先で本当に好きなのは、地元の人たちとの交流だったりする。観光客向けの華やかな店よりも、地元の常連さんが集まる小さな店。初めて入ったはずなのに、いつの間にか隣の人と笑い合っている。そんな時間がたまらなく好きなのだ。いつか、旅先にも「ただいま」と言える場所が欲しい。そんな思いから、関東圏で第二の故郷を探すことにした。そして、真っ先に思い浮かんだのが宇都宮だった。理由は単純。飯がうまい。……随分と壮大な話をしていた気がするが、結局は食欲である。しかし、食事が美味しい街には何度でも行きたくなる。何度も通えば、いつか顔なじみの店ができるかもしれない。そんな期待を胸に、今回も地元の友人と宇都宮へ向かった。旅の始まりは、新宿駅の駅弁から旅の出発地点は新宿駅。宇都宮までは電車でおよそ2時間。週末にふらっと訪れるには、ちょうどいい距離だ。今回の目的地には、美味しいものが山ほど待っている。そのため、道中の食事は軽めに済ませることにした。選んだのは、押し寿司と焼き鳥。そして、もちろんビール。友人と二人で分けながら、車窓を眺める。旅先で飲む酒もいいが、旅に向かう途中の酒には、また別の魅力がある。まだ何も始まっていない。それなのに、すでに楽しい。そんな時間を過ごしているうちに、電車は宇都宮へと近づいていった。オリオン通り。まずは餃子で街に挨拶を昼過ぎ、宇都宮に到着。最初に向かったのは、宇都宮の中心市街地にあるオリオン通り。大きなアーケードが続く商店街には、飲食店から個性的なお店まで、さまざまな店が並んでいる。オタク心をくすぐるフォレスタのような建物もあり、ただ歩いているだけでも楽しい。しかし、今回の最初の目的は決まっていた。餃子である。宇都宮に来て餃子を食べないという選択肢は、私には存在しない。まず入ったのは、比較的新しそうな餃子のお店。注文したのは、通常の焼き餃子と、香味野菜がたっぷり乗った餃子。こんがり焼かれた餃子に、たっぷりの香味野菜。そして、昼から飲むビール。これが悪いはずがない。宇都宮に来たという実感が、一口ごとに増していく。だが、今回の昼食はこれだけでは終わらなかった。餃子の街で出会った、忘れられない焼きそば続いて入ったのは、どこか懐かしい雰囲気の餃子屋さん。老舗を思わせる佇まいのお店だった。もちろん餃子も注文したのだが、ここで予想外の主役に出会うことになる。それが、焼きそばだった。学生向けに驚くほど安い価格で提供されているという焼きそば。せっかくなので、私は全トッピングで注文した。それでも850円。安い。あまりにも安い。しかし、驚いたのは価格だけではなかった。麺には独特の食感があり、まるでラーメン用の麺を使っているのではないかと思うほど。味付けは濃すぎず、最後まで飽きずに食べられる。そして何より嬉しいのが、好みに合わせてソースを追加できること。最初はそのまま。途中から少しソースを加える。一皿で味の変化を楽しめるのだ。これは、うまい。餃子を食べに来たはずなのに、焼きそばを目当てに再訪したくなってしまった。女将さんとも少しお話をした。特に印象に残っているのは、卵の値段についての話。一個あたりの仕入れ値が高く、利益を出すのが大変なのだという。それでも学生が食べやすい価格で提供している。そんな話を聞くと、料理の美味しさとは別のところでも、この店が好きになってしまう。残念ながら、肝心の焼きそばの写真を撮り忘れた。これは痛恨のミスである。だが、写真がないからこそ、もう一度食べに行く理由ができた。そう考えることにした。夕暮れ。そして、もう一つの目的地へ昼から餃子を食べ、焼きそばを食べ、街を歩く。気づけば、宇都宮の一日はあっという間に過ぎていく。しかし、この街を訪れる楽しみは、食だけではない。宇都宮駅前に、私たちがすっかり気に入ってしまったホテルがある。カンデオホテルズ宇都宮。このホテルの魅力は、何といっても最上階にあるスカイスパだ。街を見渡す開放的な空間と、旅の疲れをゆっくりと解きほぐしてくれるサウナ。正直なところ、このホテルに泊まること自体が、宇都宮を訪れる目的の一つになっている。何度も訪れたくなる街には、何度でも帰りたくなる場所がある。私たちにとって、このホテルはそんな存在になりつつあった。CANDEO HOTELS(カンデオホテルズ)宇都宮楽天トラベルもっとも、このホテルの魅力を語り始めると、それだけで一つの記事ができてしまいそうだ。スカイスパで過ごした時間については、また別の機会にじっくりと書きたい。そして、時計の針は18時を指す。私たちは、この日のもう一つの目的地へと向かった。餃子バー365。ここは、宇都宮に来るたびに足を運びたくなる、お気に入りのお店だ。餃子とワイン。少し不思議な組み合わせこの店を知ったきっかけは、あるパチスロ系YouTuberの動画だった。喫煙もできて、餃子も美味しそう。最初はそんな軽い気持ちで訪れた。しかし、実際に行ってみると、その期待を大きく超えてきた。店内は、いわゆる昔ながらの餃子屋さんとは少し違う。バーのようなおしゃれな雰囲気。女子会らしきグループの姿も見かける。そして、お通しからして面白い。苺ジャムとマスカルポーネチーズが乗ったクラッカー。餃子を食べに来たのに、最初に出てくるのがこれである。この時点で、ただの餃子屋ではないことが伝わってくる。そして、ここで楽しみたいのがワイン。餃子とワイン。最初は意外に思うかもしれない。しかし、この店の餃子を食べれば、その組み合わせに納得するはずだ。まずは、何も飾らない餃子を最初に紹介したいのは、ノーマルの焼き餃子。見てほしい。この焼き色。そして、一個一個の大きさ。ここの餃子は、とにかくジューシーだ。噛むと中から肉汁が溢れ出してくる。そんな餃子だからこそ、私がおすすめしたい食べ方は醤油ではない。塩。肉の旨みを引き立てるシンプルな食べ方が、実にいい。さらに、レモンを搾ってブラックペッパーを合わせるのも乙なもの。餃子そのものが美味しいからこそ、余計な味付けをしなくても十分に楽しめる。これだけでも、この店に来る価値があると思っている。しかし、ここからが本番だ。次々と現れる、個性の強すぎる餃子たちこの店の魅力は、餃子の種類がとにかく豊富なこと。しかも、どれも個性的。例えば、食べるラー油とネギを乗せた餃子。肉汁たっぷりの餃子に、ラー油の辛さと香ばしさが加わる。ネギの風味も相まって、食欲をさらに刺激してくる。これはお気に入りの一つ。続いて、ネギ塩やおろしポン酢など、さっぱり楽しめる餃子もある。肉汁が豊富だからこそ、さっぱりした薬味との相性がいい。そして、忘れてはいけないのが鬼ニンニク餃子。もはや名前からして強い。実際、ガツンとしたニンニクの存在感はなかなかのもの。餃子を食べに来たという実感を、これでもかと押し付けてくる。ここまででも十分に満足できる。だが、個人的にはもう一つ、どうしても紹介したい餃子がある。トマトチーズ餃子という、反則級の一皿トマトとチーズ。これを餃子に乗せてしまう。一見すると、かなり自由な発想だ。しかし、これが実にうまい。ジューシーな餃子に、トマトの風味とチーズのコク。そして、ここでワインを一口。なるほど。これはワインを飲むための餃子なのかもしれない。そんなことを考えてしまうほど、相性がいい。ノーマル、ラー油ネギ、トマトチーズ。私が特に気に入っているのは、この3種類だ。ちなみに、餃子は基本的に3個入り。4個に変更することもできるが、一個がかなり大きい。いろいろな種類を食べたいなら、3人で訪れて一個ずつ分けるのが理想的だと思う。今回も友人と二人で食べ進めたが、さすがに後半はお腹がいっぱいになってしまった。昼から餃子を食べ、焼きそばを食べ、夜も餃子を食べる。冷静に考えれば、食べすぎである。だが、不思議と後悔はない。美味しいものを食べるために旅をしているのだから。夜の宇都宮には、まだ知らない顔がある時刻は20時を回ろうとしていた。餃子とワインで満たされた腹を抱え、私たちは店を後にした。普通なら、ここでホテルへ戻ってもいい。お気に入りのサウナに入り、ゆっくり過ごす。それも悪くない選択だ。しかし、今回の旅には、もう一つ目的があった。第二の故郷を作ること。美味しい店を見つけるだけでは、まだ足りない。何度も訪れたくなる街には、きっと人とのつながりが必要なのだと思う。だからこそ、私はこの夜、宇都宮の飲み屋街を歩いてみることにした。目指すのは、地元の常連さんたちが集まるスナック。観光客向けではない、街の日常が息づく場所。ただ、その道のりは思っていたほど簡単ではなかった。歩いても、歩いても、なかなか目当ての店が見つからない。そんな中、ふと思い出したことがあった。8月に宇都宮を訪れたとき、偶然見かけた一枚の看板。あの店なら、もしかすると。そして、たどり着いたのは、少し不気味な古いビルだった。奥へと続く階段。その先にある、小さな店。正直に言えば、少し怖かった。しかし、その扉の向こうには、想像もしなかった夜が待っていた。この街を、また好きになる理由が一つ増えることになる。続く。週末と連休の旅ノート旅と飯と、たまに事件。