2016年3月24日

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孟浩然集卷第一
五言古詩
1尋香山湛上人 香山(こうざん)の湛(たん)上人(しょうにん)を尋ぬ 

朝游訪名山 朝(あした)に游(たび)だち 名山を訪(おとな)う
山遠在空翠 山は遠く 空(くう)翠(すい)に在(あ)り
氛?亘百里 氛?(ふんうん) 百里に亘(わた)り
日入行始至 日入りて 行(こう)始めて至る
谷口聞鍾聲 谷口(こくこう)に 鍾声(しょうせい)を聞き
林端識香氣 林端(りんたん)に 香気を識(し)る
杖策尋故人 策(つえ)を杖(つ)き 故人を尋ね
解鞍暫停騎 鞍(くら)を解(と)きて 暫(しばら)く騎を停(とど)む
石門殊壑險 石門(せきもん) 殊(こと)に壑(たに)険(けわ)しく
篁逕轉森邃 篁逕(こうけい) 転(うた)た森邃(しんすい)たり
法侶欣相逢 法侶(ほうりょ) 欣(よろこ)び相(あい)逢い
清談曉不寐 清談 暁(あ)くるも寐(いね)ず
平生慕真隠 平生 真隠(しんいん)を慕(した)い
累日探靈異 累日(るいじつ) 霊異(れいい)を探す
野老朝入田 野(や)老(ろう) 朝に田に入り
山僧暮歸寺 山僧 暮に寺に帰る
松泉多清響 松泉(しょうせん) 清響多く
苔壁饒古意 苔壁(たいへき) 古意饒(おお)し
願言投此山 願わくは言(ここ)に此の山に投じて
身世兩相弃 身と世と両(ふた)つながら相(あい)弃(す)てん

 

 

朝早く香山を訪(おとず)れる旅に出たが、その山は遠く緑の中。木々の香りが百里四方に満ち、夕方にやっと到着した。谷の入り口で鐘の音を聞き、林の辺りは木々のにおいが芳しい。杖をついて友を訪ね、馬をとどめて暫(しばら)く憩(いこ)う。石門は殊(こと)に崖が険(けわ)しく、竹薮の小道はいっそう静けさをたたえている。上人に逢えたことを喜び、朝まで寝ずに語り合った。常に真の隠者になることを求め、日々神秘的な風景を探し求めた。農夫は日が昇れば田に行き、山寺の僧は夕暮れに寺に帰る。松に囲まれた泉は静かに水の音を響かせ、あたりの苔には古い趣(おもむき)が溢(あふ)れる。どうかこの山に留まり、世の中も私を忘れ私も世の中を忘れてしまいたい。

 

 

○香山 湖北省京山の北に在り、孟浩然が長く住んだ襄陽(じょうよう)の北に位置する。また河南省洛陽市龍門山の東にも在る。そこで孟浩然が故郷に帰っての詩であるなら湖北省の香山であるが、科挙受験の為に洛陽に来ていた頃の作であると考えるなら河南省の香山である。湛上人は世に荊渓(けいけい)上人、或は妙(みょう)楽(らく)大師と呼ばれており、荊渓は湖北省に近いので香山は湖北省の山であろう。○湛上人 湛(たん)然(ぜん)(711~782)唐代の名僧、著名な書家である。俗姓は戚(せき)。常州(じょうしゅう)晋(しん)陵(りょう)荊渓(けいけい)(江蘇(こうそ)省宜(ぎ)興(こう))の人。№15「山に還(かえ)りて湛(たん)禅師に贈る」が有る。○空翠 空に聳(そび)え立つ山の木々の緑、また滴(したた)るような緑。○氛? 気の盛んなさま。○杖策 杖をつく。後漢書巻一六・鄧寇列伝第六「光武の河北を安集せしことを聞くに及んで、即ち策(つえ)を杖(つ)きて北に渡り、追いて?(ぎょう)に及ぶ。(鄧禹(とうう)伝)」とある。○篁逕 竹林の中の小道。○森邃 ほの暗く奥深い。○霊異 神秘的で不思議なこと。霊妙神異。ここは神秘的な風景。○言 語助詞。意味はない。○身世兩相弃 文選巻二一・鮑明遠・詠史一首「君平(くんぺい)独り寂漠(じゃくばく)たり、身世両つながら相棄(あいす)てたり。」による。

 

 

附注 科挙に落第した後の作。孟浩然は開元十七年(725)と二十一年(729)二度受験した。(孟浩然大辞典・王輝斌主編・黄山書社による。以下孟辞典と略称。)孟辞典は洛陽滞在時の作とするが、注で記したように帰郷後の作である。

 

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