昨日のブログ「樹脂から生まれた合成繊維がなぜ水を吸うのか?」で取り上げた吸水速乾(ドライ)繊維の仕組み。クールマックスファブリックが毛細管現象を利用して綿の5倍の吸水・放出スピートを実現しているというお話をさせていただきましたが、そもそも衣類が汗を素早く吸い取ることでなぜ涼しくなるのでしょう。ベタベタしなくなって不快感が軽減されることはわかりますが、本当に涼しくなるのでしょうか。
■人間が汗をかく理由とは
暑くなると人間は汗をかきます。体温がある一定の温度を超えると、体温を正常値に保つために肌の表面に汗を出し、その汗が外気に触れることで体を冷やします。つまり人間は汗を出すことで体温調節をしてるのです。
■人間の汗を使った体の冷やし方
汗を使った体の冷やし方は大きく分けて下記の2種類になります。
1)外気が体温より低い時⇒ 汗自体が体を冷却
2)外気が体温と同じ、もしくは高い時⇒汗が蒸発時に熱を奪って冷却
1は俗にいう「汗冷え」というもので、冬の風呂あがりなどに一気に体が冷えるアレです。ただ、これはあくまでも外気が体温より低い場合や熱を逃してくれる風がある場合のみ有効な冷却方法です。
2は「気化熱効果」と呼ばれるもので、水分が付着した物体が持つ熱が蒸発時に水分へ移動する特性を利用したもの。外気の気温が高い時や、風がない時などは肌表面の汗を蒸発させて体温を調節しています。
■吸汗速乾繊維はもう1枚の素肌
毛細管現象を利用して汗を吸い上げ、衣服表面へ拡散、蒸発させる吸汗速乾繊維は、本来人間の肌が行う気化熱効果による冷却の仕組みを衣類でマネたもので、例えるならば「もう1枚の素肌」と言えます。つまりドライ機能を持たない衣類を着ていると、肌本来の冷却機能が阻害されてしまうのですがドライ機能を持つ衣類を着ることでその冷却機能を促進することが出来るのです。
■吸汗速乾繊維は万能ではない
しかし、吸汗速乾繊維も万能ではありません。カンタンに言うと吸汗速乾繊維は汗を吸うことでベタつきなどの不快感を抑え、吸った汗を蒸発させることで冷却する仕組みですので、例えば外気の湿度があまりに高い環境では吸った汗が上手く蒸発できず汗を吸う力も弱まって、体温調節が上手く行かなくなることがあります。体温調節が上手く行かなくなると熱中症を引き起こすこともありますので、ドライ繊維を着ていても無理せず、こまめに着替えること心がけましょう。
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