高校化学講座 鉛蓄電池(充電編) | エセ化学者の理科の学校

高校化学講座 鉛蓄電池(充電編)



今日は以前鉛蓄電池の仕組について解説した放電編の逆反応、充電編です。

 鉛電池は電極二酸化鉛電解液に希硫酸を使ったものですが、放電により、負極の鉛、正極の二酸化鉛が電解液である希硫酸と反応し、いずれも硫酸鉛になる反応を放電編で解説しました。

 今回はこの逆反応となる充電編です。これは放電編で解説した式と全く逆の反応が起きます。また今度は電気を外部からかけることになりますので、電気分解と考えます。外から電気をかける場合は、放電編で用いた正極、負極ではなく、陽極(+)、陰極(-)という別の言葉を用います。参考書を見て、電気分解の解説をしているとき、正極負極という言葉を使っていたら、これはエセ参考書といわざるを得ません。

 さて、話を戻しましょう。鉛蓄電池の充電は、陽極(+)に二酸化鉛、陰極(-)に鉛を用いて硫酸鉛の水溶液を電気分解します。まず、陰極の反応を考えます。陰極では、電極付近にある鉛イオン(Pb2+)が電子をもらって、金属の鉛に変化します。


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 次に陽極です。陽極では二酸化鉛(PbO2)ができますが、これを順を追って式を立てて見ます。二酸化鉛の鉛の酸化数は、+4です。つまり電解液中にある2価の鉛が2個の電子を出して、4価の鉛イオンになると考えます。


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これを二酸化鉛にするには、酸素原子2つが必要です。この出所は水(H2O)ですが、先ずは水が+4価の鉛イオンと反応するに必要なは、酸素イオン(O2-)となる式を考えます。

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この式を二倍して前の式とあわせて見ます。+4価の鉛イオンと2個の酸素イオンは結合して二酸化鉛となりますから…


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これが、陽極で起きる単極電池の反応式です。4つの水素イオンが出てきましたが、これは、電解液の中の硫酸イオンの新たな相手(カウンターイオン)となるわけです。そしてこれが硫酸(H2SO4)になるわけです。

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この式を2倍して、全ての式をたすと、全電池反応となります。


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このように順序だてて、何ができるかを覚えるだけで、あとは電荷合わせと係数合わせだけです。つまり今回も記憶する必要はありませんね。化学は記憶の学問ではないんです。


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