臨時化学講座:指示薬 フェノールフタレイン | エセ化学者の理科の学校

臨時化学講座:指示薬 フェノールフタレイン

 ある方の要望により、フェノールフタレインについて解説します。

ところでフェノールフタレインってご存知ですか?この名前を知らなくても、リトマス試験紙は知ってますよね。リトマス試験紙は、酸性で赤に、アルカリ性で青に変わります。このような酸性、アルカリ性で色を変える試薬を指示薬(しじやく)と呼びます。

 フェノールフタレインは、酸性、中性では無色ですが、アルカリ性では赤い色に変わります。それではなぜフェノールフタレインの色が変わるのか、化学構造式で説明してみます。


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フェノールフタレインは(1)のような構造をしています。分子内にフェノール性水酸基を2つ持っています。これがアルカリ性になると、この水酸基がイオン化します。(2)

 そうすると、フェノラートの酸素原子上の電子が矢印のように動き、(3)のようになります。

 (3)はさらに電子が動き(4)とは共鳴関係にあります。つまり共役により安定化し、ピンクで示した3つのベンゼン環は同一平面状に乗ることができます。これが平面共役性で、低いエネルギーで電子が励起することができ、これが赤い色に見えるわけです。(キノン構造とも関係してますね)

 アルカリ性で赤い色を示すといいましたが、さらにアルカリを強くし、pH12を超えると、赤い色が消え、再び無色になります。これは水酸基が付加し、(6)のようになり平面を維持することができなくなるため、無色になります。