サツゲキにて鑑賞。
『罪深き少年たち』
チョン・ジヨン監督作品。ソル・ギョング主演。
韓国で実際に起きた、
強盗殺人事件における少年容疑者の冤罪事件を描いた作品。
無実の罪を着せられた、
少年たちの過酷な生活を描くなど、
どれほどいたたまれない内容なのだろうか?
やはり実話ベースの日本映画『許された子どもたち』(2020)のようなヘヴィな作品をも想像。
しかも、事件の真相を暴くべく奔走する主人公の刑事を演じるのが、
韓国映画界きっての名優、ソル・ギョング!
これで面白くならないはずがない。
ちょっと地味な立ち位置の作品だったが、
かなりの期待を持って鑑賞。
しかし…
いったいどうしたことか。
根底にあるのは、
「韓国映画あるある」の、
韓国警察の無能(あるいは腐敗)ぶり。
なぜ無実の少年たちは冤罪を着せられたのか?
その背景に深い理由があるのか?
それが全くないのである。
早いところ事件を解決しようとする警察の怠慢があるのみ。
そして、拷問による自白の強要。
少年たちは、過酷な取り調べを受けるのが嫌で、
無実を訴えることもできない。
ただそれだけか…
全く浅い。
そして、事件の真相を調べて明らかになっていくのが、
有罪への証拠の不十分さや、
明らかな真犯人の存在。
その捜査の過程も、
あまりにも凡庸。
そして、お約束として登場するのが、
嫌味な上司や検察官。
ラストには定番の法廷シーン。
実に浅い作品だった。
ソル・ギョングの起用がもったいない!
しかも演出自体が、どこか古臭いというか…
これも「韓国映画あるある」なんだが、
頻繁に小暴力が振るわれる。
今でも韓国では実際に、
あの様な暴力が横行しているのだろうか?
まあ、主演がソル・ギョングだから見れたもの。
かつては「狂犬」言われた熱血刑事だが、
今は人生の滋味をも感じさせる刑事である。
捜査の内容が浅いのは、ソル・ギョング演じる刑事の責任ではなく、
それまで捜査してきた無能な警察によるもの。
一方でグッときたのが、
ソル・ギョングとその家族との関係を描いたパートである。
食堂を開いた妻や、
父親の背中を追う様に警察官となった娘。
夫や父への深い信頼をさりげなく描く。
その辺りのシーンがあまり長くなくてもったいない。
もう少ししっかりと描いて欲しかった。
その設定とソル・ギョングと言うことで、
もっと面白い作品にできたはず。
その辺の恨みを加味して、
辛口の採点の4点。