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ビデオ『草の響き』

2021年斎藤久志監督作品。東出昌大主演、奈緒、大東駿介出演。

佐藤泰志原作。

 

 

東京で心を病み

妻の順子(奈緒)と一緒に故郷の函館に戻ってきた工藤和雄(東出)。

精神科医から運動療法を勧められ、

ジョギングに勤しむ日々だった。

そんな和雄を健気に支える妻だったがやがて子供を身篭る。

一方で和雄はジョギング中に、学校に居場所を見つけられない2人の高校生と出会う。

しかし、精神状態が一進一退の和雄

親友の佐久間(大東)は和雄に寄り添い力になろうとするのだったが…

 

夭逝した函館出身の作家・佐藤泰志原作で函館でロケした作品(函館のシネマアイリス制作)の、全5作中4作目となる作品。

 

函館を舞台に、ひたすらダウナーな生活をしている主人公を描いた作品ということはいつも通りの作品である。

 

本作の決定的特徴は、

主人公は自律神経失調症を診断された、

歴とした病人である点である。

ある意味、難病ものともいえる。

 

ビジュアル抜群でジョギング姿も様になる主演の東出を見ていると、

どうも病人に見えない

ジョギング姿が生き生きしすぎて、

病気は順調に回復してしまいそうに見える。

 

 

しかし実際には、病状は一進一退。

その病気自体、そう簡単には良くならないものなのだろう。

 

ただ、時間の経過に伴う病状の変化にドラマ性を感じられなかったのはいかがなものか?

 

どう言うきっかけで軽快し、

そう言うきっかけで悪化する流れが見えてこない。

 

あるとすれば、妻の妊娠か。

父親になることのプレッシャーが病状を悪化させ、

心を病んだ夫を支えてきた純子の心も折れそうになっていく。

 

 

そんな和雄の周辺とは別に、

多くのパートを費やして描かれるのが、

高校生活になじめない2人の男子高校生と、その姉

和雄はジョギングの途中で知り合い、

いつの間にか2人と一緒に走るようになる。

しかし、ただそれだけだ。

ただ、お姉ちゃんがやたらミニスカだったのが眼福だったが(笑)。

 

あと、物語は時系列通りに進んでいたのだが、

時間の経過がよくわからなかった。

「妻の妊娠」→「土手でうずくまる和雄を励ます佐久間」→「その1年後に同じ土手で仲良くする和雄と佐久間」

→「2人が和雄の家にいくと、純子はまだ出産前」

としか思えなかったのだが…何かを見落としたか。

 

 

観ていて、これはすっきりとした「エンディングを迎えないなと思ったらそのとおり。

病気も夫婦仲も、解決を見せない。

 

よく言えば、日本映画らしい余韻とでも言うのだろうか。

何も解決していない和雄の晴々しい表情で映画は終わる。

もしかして、これは「後味悪い系」?