週刊朝日101年史
朝日新聞出版
去年101年の歴史の幕を閉じた週刊朝日の歴史を辿る、
大型のムック(定価4500円)。
図書館から借入。2024/3/7刊。
新聞は朝日新聞の我が家であるが、
結構長期間週刊朝日を取っていた。
そんな思い入れのある週刊朝日の歴史を網羅する一冊ということで、
買うほどではないが、
図書館から借りられるんなら借りないわけにいかない。
416ページの大冊は4章からなる。
第1章1970〜2023年のダイジェスト
第2章人気連載記事再録と秘話
第3章終戦〜1970年
第4章創刊〜終戦
創刊から経時的に並べてないのは読みやすさを優先してるのだろう。
巻頭から並ぶのは、様々な記憶に新しい記事。
そんな第1章だけで全体の2/3を占める。
昭和末期から令和までの話題を総覧的に読めるのがありがたい。
ただしそこは、別に週刊朝日じゃなくても良いような気もした。
特に週刊朝日がスクープした記事などを中心にした方が、
週刊朝日マニアには嬉しいところだろう。
一方で、3、4章の歴史的記事の再録には興味深い面も。
例えば、有名な「阿部定事件」の記事も載っていた。
その記事の紹介コピーが、
「『わたしのあなた』事件 思ふ男を絞殺し死體に愛欲の刃『血文字お定』が捕らはれる迄」
今では「阿部定事件」との名称で通る事件だが、
当時にはそんな名称が使われていなかったことがわかる。
また、映画評論家筈見恒夫による「転換する日本映画」(1940.10.6)というタイトルの記事も掲載。
当時に映画の記事など珍しかったと思うのだが、
内容は映画の検閲に関するもの。
第2次世界大戦開戦前夜の時代性が偲ばれる。
週刊朝日のキャラクターが最も反映されたのが、
第2章だろう。
週刊朝日の匿名連載記事といえば、
なんと言っても司馬遼太郎なんだろうが、
東海林さだお「あれも食いたい これも食いたい」、
神足裕司・西原理恵子「恨ミシュラン」、
山藤章二「ブラック・アングル」「似顔絵塾」、
と言ったあたりは外せない。
そしてなやはり最強の連載記事は、
ナンシー関「小耳にはさもう」だろう。
彼女が39歳にして亡くなったことにより終了した連載。
いまだに評価の衰えない、
歴史的連載だったと思う。
もちろん、その秘話も掲載されているのだが、
そのパートをまだまだ読みたいと思った。
まあそこは、別の書物にあたるべきところなのだろう。
そんな週刊朝日、
正直言ってそれほど面白い週刊誌ではなかった。
少なくても週刊文春の方が面白い。
ひょんなご縁で長々と定期購読していたのだが、
ついに耐えられなくなって、
ある日講読をやめた。
それは毎春繰り返される、
クソつまんない大学合格者特集のせいである。
しかも、数ヶ月にわたり手を替え品を替えて、
誌面のかなりのページを費やした。
いい加減にしてくれ。
そして本書では、
そんな大学合格者特集に関する歴史や秘話も載せている。
かつては東大合格者の実名を載せていたりしたことに対する、
プライバシー問題の変遷に触れていたりする。
しかし、反省はしていない。
エリート朝日新聞の無神経さを感じる記事だった。