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ビデオ『ニューオーダー』

2020年ミシェル・フランコ監督作品。ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド主演。

 

 

メキシコの裕福な家庭で育ったマリアンは、

念願の結婚パーティを自分の豪邸で開き、幸せの最高潮を感じて過ごしている。 

しかしそこに貧富の差の抗議運動から暴徒化した組織が豪邸に押し入り、

そこは地獄絵図と化し…

 

貧富の差が社会問題化した社会を舞台にした「ディストピア・スリラー」。

とんでもなく凄まじい胸糞映画である。

 

ホラーとは少し違う。

あくまでも社会派問題を取り上げた内容なのだが、

描写や展開がえげつない。

 

序盤は、富裕層ばかりが集まった結婚パーティのシーンが続き少々退屈する。

ただ、参列者が「空港が混乱していた」や「道路が封鎖されていた」などと言い、

到着が遅れる者も多く、

不穏な雰囲気が流れる。

実は、街中では抗議デモが過激化して戒厳令状態にあった。

 

 

そんなパーティ会場に、

かつてはこの家で働いていた、

身なりの粗末な男が「妻の治療費を貸してほしい」とやってくる。

皆が冷たくあしらう中、

心優しい花嫁のマリアンは使用人の青年と車で男の家に向かう

 

 

そのおかげで豪邸での暴徒の襲撃から免れるマリアンだったが、

それどころか凶悪な組織に誘拐されて、

最悪の事態に巻き込まれてしまう。

 

残虐な描写を含めてホラー的な怖さは感じる。

しかし、これはあくまでもリアルな社会状況を描いたドラマである。

リアルといても、これはいくらなんでもデフォルメしすぎだろう、

とついつい思ってしまうのだが、

舞台となるメキシコでの状況では、

あながち空絵事ではないのである。

 

誘拐組織ではマリアンをはじめ多くの富裕層が監禁され、

暴行やレイプを受け、

家族には身代金を要求していく。

 

身代金を受け取っても、

命の保証はない。

 

そんなマリアンの運命は?

…えええ?

 

 

裕福な一族の中で唯一貧困層に手を差し伸べる心優しいマリアン。

しかし、そこから展開される教訓など一切ない。

容赦ない胸糞描写。

 

ただ、あのような状況下で結婚パーティを強行したり、

戒厳令下を無視して危険なエリアに赴いたりする行動には納得しかねる。

その辺りが、心底から恐怖を感じられないマイナスポイントとなってしまった。