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ビデオ『隣人X 疑惑の彼女』

2023年熊澤尚人監督作品。上野樹里、林遣都主演。

ファン・ペイチャ、野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子、酒向芳出演。

 

 

地球人に擬態した宇宙生命体Xをめぐる、

SF色の希薄な人間ドラマ

公開時にも気にしていたのだが、

ギリギリのところでスルーした作品。

 

ざっくりとした内容しか分からないで鑑賞したのだが、

なかなか面白かった。

 

宇宙生命体Xは外見上人間と変わらない。

決して人間に危害を加えない、

侵略者ではなく難民と言える存在である。

そんな難民Xをすでに米国では受け入れている。

そして日本でも受け入れるかどうかの議論が起こっている時点が、

本作の舞台である。

 

そして、人間に紛れ込んでいるXはいったいどの人物なのか?

世の中は疑心暗鬼になっている

 

 

雑誌編集者の健太郎(林)は、

立場の弱い派遣社員。

パワハラ上司からスクープの獲得に迫られる。

そんなある日、

雑誌でXの特集を組むことになり、

編集者達はXの疑惑のある人物をピックアップしてその取材を命じられる

 

 

健太郎が担当することになったのは、

バイトで生計を立てている女性の良子(上野)だった。

極秘の取材のため良子に近づく健太郎だったが、ふたりはお互いに惹かれあっていく。

 

以上は、ほぼ中盤までの展開。

設定は完全にSFであるが、

社会的にも経済的にも崖っぷちの人間を描いた、

人間ドラマの様相が大きなウエイトを占める。

 

そもそも健太郎は、

人のプライバシーに無遠慮に踏み込むなど到底できないナイーブな青年である。

一方で良子は、日本に馴染めない台湾人女子留学生(ファン)の面倒を見るなどの、

心優しくも人間味も溢れる女性である。

 

 

しかし健太郎は、そんな良子も実はXでは?

との疑念を思いつつ、

彼女への恋愛感情を深めていく。

 

編集者としての業務と、

プライベートな感情のジレンマ。

その辺りは、とてもよく描かれていたと思う。

 

 

しかし…(苦笑)。

様々な点で残念な作品だった。

 

サスペンス的展開に突っ込みどころがありすぎ。

ありすぎて省略。

 

また、疑惑のXと名指しされた良子の父親に対する、

無遠慮なマスコミの描き方が陳腐を通り越して、

呆れ返ってしまった。

 

 

結局、誰がXだったのか?

製作者たちは、その辺を「ほら、意外でしょ?」とでも言いたげに演出していたのだが、

どうでもいいです。

SF〜サスペンス的には全く陳腐。

 

ヒロインの上野樹里がなかなか良かった。

それほどのブランクでもないのだろうが、

個人的には久しぶり感が強い。

若い頃のちょっと不思議ちゃん的なイメージはなく、

年相応の良い女優になったと思う。

 

もう一人の主役の林遣都、

ちょっと弱気の阿部寛って感じになってきたな(笑)。