TOHOシネマにて鑑賞。

 

『ボーはおそれている』

アリ・アスター監督作品。ホアキン・フェニックス主演。

 

 

治安の最悪なスラム街で一人暮らしをしている中年男のボー

父親の命日に母親の暮らす実家に帰ることになるのだが、

さまざまなトラブルが降りかかり、

帰ることができない。

そんなボーに、

母親が怪死したという知らせが届き…

 

斬新な意欲作を連発する米国のスタジオA24作品。

そのA24を牽引する存在ともいえる、

『ヘレディタリー/継承』や『ミッドサマー』と言った新感覚のホラーを監督したアリ・アスターの新作

さらに主演が『ジョーカー』で改めてブレイクした、

現代の性格俳優ホアキン・フェニックス。

これは期待できます。

 

しかも、今回はホラーではない!

しかも3時間の作品!

一体どうなることやら。

 

序盤から、ボーの生活の描写が凄まじい

精神科医にカウンセリングを受けているシーンからして、

ボーのメンタルがただ事ではないことが分かる。

 

 

そして、圧巻なのがボーの生活環境

もう劣悪すぎて、不条理コメディの世界。

最高です!!

あのコーエン兄弟作品を数倍過激にした感じか。

コーエン脚本、サム・ライミ監督の超傑作『XYZマーダーズ』だな。

あと、マーティン・スコセッシ監督『アフター・アワーズ』も。

 

 

ただその後は、作風が変な方向に変わっていく。

スラム街の路上で全裸で車にはねられたボーは、

運転していた外科医夫婦に助けられ…

 

 

その後の展開はシュール。

一番に連想したのがデヴィッド・リンチ

ドラッグによる妄想も絡み、

現実との境界も曖昧に。

 

 

アニメも駆使した映像は中々面白かったのだが、それまでの整合性はいかに?

この辺りの演出は大林宣彦か

 

そして、結局ボーは実家にたどり着く。

話は前後するのだが、

劣悪な生活をしているボーの母親は、

実は裕福な経営者だったんですね。

その落差の意味がよくわからなかった。

 

一方で終盤になり、

母親と息子との原罪的な深刻なテーマが浮かび上がる

そのテーマ自体は良いのだが、

序盤の不条理コメディ的な展開と、

中盤の幻覚シーンを経ての主張は、

こちらには全く届かない。

 

何なんだ、これは…

 

結果的に3時間の長尺に、

序盤中盤終盤それぞれが違った要素を詰め込んだ感じになってしまった。

 

 

序盤の不条理コメディパートには大評価。

あとは、どうでしょう。

 

トータルで7点。