『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

ブラッド・バード監督作品。トム・クルーズ主演。
さて、このシリーズも第4作目。
本題に入る前に、過去の3作を振り返ってみよう。

『ミッション:インポッシブル』ブライアン・デ・パルマ監督
『M:I-2』ジョン・ウー監督
『M:i:III』J・J・エイブラム監督

タイトルを正確に表記するだけでも、大変であった。
まあ、それはいいとして、回を追うごとに監督がしょぼくなって行くのが良く分かる。
今回の監督は、これが実写映画初監督。
今まではアニメしか監督していない。
と言うか、今時のハリウッド映画はCG使いまくりなので、
アニメと実写の境界線は限りなくボーダーレスになってはいる。

さらに言うと、過去3作の中で一番面白かったのは、個人的には3作め。
巨匠が監督しても面白いとは限らない
ハリウッド映画は、監督よりもプロデューサーで決まるものである。

そんな訳で、監督名で期待を萎ませる必要は一切なしだ。

冷戦時代を思わせる米露の対立をバックに、例のごとくヒーロー、イーサンは
過酷な任務を遂行して行くのである。
しかも今回は、クレムリンのテロ行為の容疑者とされて当局からも見放されて、
という二重のリスクを背負ってのミッションだ。

いや、正確に言うとミッションですらない。
何しろ、当局からの指示は、すでに消滅しているのである。
それでもイーサン率いるメンバーは、残された武器や秘密兵器を駆使して、
自主的に世界平和のために尽力する。

見応え十分の、超一級の娯楽作

まあ、これからは例によっての突っ込み。

いくら兵器が手元に残されているとは言え、当局からのバックアップが失われた以上、
あのようなミッション(じゃないが)遂行は不可能だろう。
第一、必要経費はどこから出るんだろ?

そんなハンデがあってか、今回の秘密兵器類は結構欠陥が多いのである。
そこがサスペンスやギャグに通じて、作品にふくらみを持たせている、とも言える。

この手の秘密兵器類は『007シリーズ』にも良く登場するが、最新のハイテク機器でありつつも、
映画で登場させる演出としてはなぜかレトロを感じさせるのが不思議である。

ストーリーを思い切り端折って言うと、核弾頭の作動を阻止する話である。
その基には、核戦争崇拝主義者のオヤジの存在があるのである。
そんなマッドなキャラのオヤジの存在って、良く考えたらかなり無理があるなあ。
まあ、良く考えない方がこの作品を楽しめるが。
良く考えてしまったら、キューブリックの『博士の異常な愛情』になってしまうし。

それにしても、スパイって知能的にも肉体的にも、超越した人物である事を改めて実感。
と、まともに論じても仕方ないが。
しかし丁々発止の頭脳戦はいいとして、
結局は肉体的アクションで困難を解決してしまう展開が多いのは、
ちょっと納得できかねる。
アンジー主演の女スパイもの『ソルト』の時にも感じたが、
アクションを派手にした方が娯楽映画としての見栄えはいいが、
主人公が無条件に強いのは、シュワちゃんか、『探偵はBARにいる』の松田龍平くらいにして欲しい。

そして、過去作との関連にも軽く言及。
本作でもハイライトシーンは、やはりドバイの超高層ビルでのアクション。
2作目での意味のないロッククライミングのシーンがここで生かされるとは。
また、3作目でのストーリーが、本作に繋がっていたのも意外。

おまけ。
女暗殺者役の女優が可愛い!
芝居はイマイチ。

十分楽しめました。7点。

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