東京朝呑み散歩

三才ムック 2010年発行
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店の情報を羅列した、グルメ本である
単なる情報誌をここで取り上げるのもどうかと思われるが、
特異なテーマに絞る事により、そこに香しい文学性が生じる。
例えば列車の運行情報を載せただけのJR時刻表だって、
読む者によっては、最上級の文学となるのである。

本書は、東京で朝から飲める飲食店を100店紹介。
店名、住所、営業時間、店内外の写真、結構詳細なメニュー。
それを、地域別に紹介。
コンパクトなムックながらも、かなりの情報量だ。

そんな情報を読み進むだけで楽しい。
例えば、錦糸町の「炭火焼き鳥 馬力本店」。
営業時間は5:00~24:00
それだけで酩酊を誘う。深夜まで賑わう風俗街錦糸町にとって、
この店の休業時間はむしろ掻き入れ時なのではないだろうか?
そして名物メニューが「生ホルモン刺し盛り590円」。
店の紹介に添えられたキャプション「朝から生肉を喰らうという贅沢」が、
読む者のアドレナリンを沸騰させる。

巻頭のグラビアには、表紙からも分かるように
吉田類の朝呑みレポート
載せられている。
朝9時に上野をスタート、途中浅草に河岸を変えて昼下がりまでに7軒のはしご酒を飲み倒す。
まるで芸能誌のアイドルのようなグラビアのページである。

それにしても100店。
いくらメトロポリス東京とは言え、何と言う店の数だろう。

ちなみにワシは午前中は飲酒しない主義なので、
この本は実用として捉える事はない。
しかしながら、その飲み方にはロマンを感じる。
そこに文学が花開き、徘徊を深化させる。