今回は蠍座だけど、道内初公開作品。
蠍座に拍手!
2007年ジョニー・トー、ワン・カーファイ監督作品。
香港映画でこのタイトルだから、おバカなコメディかと勘違いされる方もいるかも知れないが、
シュールで不条理なサスペンスである。
スタイリッシュな、あまりにもスタイリッシュな香港ノワールのイメージの強いジョニー作品としては、
異質な作品。
まず、主人公がまさにMAD。
ありがちな「狂った野獣のような探偵」なのではなく本当に狂っている。
精神病院に通院している事をほのめかすシーンもあるし。
その狂気が、天才的プロファイリング能力をもたらす。
彼には、他者の内面が見える。
映像では、実際に他者の内面を具現化する人物が現れ(主人公以外には見えない)、観ていて結構混乱する。
さらに、容疑者でもある刑事が7重人格なので、彼の周りには7人の影武者がつきまとう。
もう、ややこしい。
スタイリッシュなアクション映画のファンよりも、
「主人公は実はこうでした」系の好きな方にお薦めかも。
クリストファー・ノーランとか、M・ナイト・シャマランとか。
それでもクライマックスの四つ巴の銃撃戦は、まさしくジョニーの本領発揮。
やはり彼は「お約束」を守ってくれるのである。
手法優先ストーリー二の次の作品で、6点。