『アメリ』
2001年ジャン・ピエール・ジュネ監督作品。オドレイ・トトゥ主演。
モンマルトルのカフェで働く若い主人公の、ラブロマンス。
こりに凝った映像と、編集のリズム感。
おフランスなオシャレ感も満点な、女性誌ウケのしそうなカワイイ作品だ。

冒頭の、テンポのいいナレーションと、細かいカット割りで紹介される主人公アメリの生い立ち。
ここだけでもう、気持ちは一気にKO。
(話はそうそうと脱線するけど、この一連の流れをもっとパワーアップしたのが我が日本の『インスタント沼』(9点)。これもお薦め)。

ジュネ監督は、どちらかと言うとマニアックで「カワイイ」というより「不気味」な作風の監督。
だからこの作品の随所でも、彼らしい不気味さを垣間見る事ができる。
でも、若い女性を主人公に据える事で、その不気味さとオシャレ感が程よくマッチして、
独特の色彩感覚(好みは分かれるだろうけど)と映像のテクニックで、
絶妙のバランスのマリアージュが成功したんだろう。

ストーリー、紹介してなかったね。
それはどうでもいい(笑)。
アメリが街中でたまたま見つけて一目惚れした青年を探し当てると言う内容。
その一方で、周りの人たちに罪のない”いたずら”をして、幸せをもたらすと言う、甘ったるいエピソードを添える。

ワシがこの映画を評価するのは、ほとんど映像のテクニックに関してのものであり、
テーマやストーリーはほぼ関係ない。
ただ、エピソードのひとつ。
いつもながらのアメリのいたずら。
住んでいたアマルトマンのに残されていた古い住居人が残したガジェットを、持ち主を探し当てて渡すシーン。
ここだけは、思わずほろりとしてしまった。
中年男なら誰もが、心動かされるシーンだろう。

そしてラスト。
アメリは憧れの彼と出会う。
ストレートにロマンティックなシーンで終わる。
だが、だ。
何となく、オシャレでロマンティックで見逃してしまったんだけど、そのラストシーン。
よくよく考えたら、とんでもない変なシーンなのである。

どう変なのかって?
観てみて下さい。
くせ者ジュネの企みなのか、それともフランス人のごく普通のメンタリティなのかは分からないが…

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