Amazonプライムで鑑賞。
ビデオ『The NET 網に囚われた男』
2016年キム・ギドク監督作品。リュ・スンボム主演。
韓国の鬼才による壮絶な人間ドラマの大傑作。
韓国との国境沿いの河川で漁業を営んでいる北朝鮮の男が主人公。
妻と幼い娘とで、つつましい暮らしをしている。
いつものように漁をしている時にエンジントラブルで彼は船ごと韓国側に流されてしまう。
韓国に保護される主人公。
そんな彼の運命を描いた、社会派ドラマであり、政治サスペンスでもある。
実はこの作品、以前鑑賞したことがあり2019.4.3にレビュー済み。
同じ作品を最鑑賞することはあまりないのだが、
たまたまAmazonプライムで配信しているのを目にして、
ついつい最後まで鑑賞してしまった。
2度鑑賞しても決して色褪せない、
間違いのない大傑作だった。
南北朝鮮の国家間に翻弄される主人公。
その描写は壮絶の一言に尽きる。
前回のレビューでは
「ギトク監督にしては、実にストレートで分かりやすい展開」
と印象を書いた。
だからと言って生ぬるい作品ではない。
むしろ2度目の鑑賞で(だからこそ)その感を強くした。
詳細なエピソードが伏線となり、
無駄なく回収されていく。
その正攻法の演出は、
シュールな作風のギトク監督としては最も洗練されたものだろう。
そしてやはり思いを強くしたのが、
南北朝鮮という戦闘状態にある両国家による犠牲。
突き詰めるとこの作品は、
秀でた反戦映画なのだろう。
さらに改めて強調するが、
主人公の地味な奥さんを演じたお気に入りのイ・ウヌの、
よもやのヌードシーンも楽しめるお宝映画でもあった。