高校生のとき西江雅之先生の本を読んでアフリカでのフィールドワークに漠然と憧れていました。
でも、この本を読んで自分には無理だったと確信しました(笑)。

著者は1970年代後半から20年以上にわたり、アフリカでサルの群れを観察してきた脳神経科学者で、読む前は内容が学術的過ぎるのではと内心恐れていましたが、良い意味で期待を裏切る生き生きとした文章でした。エピソードはもちろん、著者の目を通して描かれるアフリカ社会の一面がとても興味深く、一気に読むことができました。

同じケニアが舞台の以前読んだ『ヴィクラム・ラルの狭間の世界』では、アフリカ人とイギリス人の狭間に生きるインド人が主役でしたが、この本ではアメリカ人である著者がみつめるアフリカ社会なので、アフリカ人から見たインド人の描かれ方が面白かったです。

最終章は、動物が好きだとは口が裂けても言えない私でも、平常心で読み進めることができず、最後は静かな涙とともに読み終えました。著者の人間性がにじみ出ている作品です。

著者の別の作品も読んでみたいと思いました。

サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々/みすず書房

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