驚かせて悪いな



千鶴。突然すまねえな。俺だ、歳三だ。

なんで毎日顔合わせてんのに、わざわざ文なんざ送ってきたのか疑問に思うかもしれねえが……。

まあ、別にそれほど深い意味があるわけじゃねえ。
前に使ってた巻紙が少し余ってたんでな。
捨てちまうのも勿体ねえし、ちっとばかりおまえに文でも書いてみようと思っただけだ。

それに【一歩下がって夫を立てる】というか、おまえは何でも遠慮しちまうとこがあるだろ?
そんなおまえも文だったらいろいろと言いたいことが言えるんじゃねえか、なんて思ってな。

……まあおまえなら、言いたいことも不満も何もないって言いそうだけどな。

だけど屯所時代には、女らしい格好もさせてやれずに不自由させちまっただろ?
俺としちゃそのぶん、今のおまえにはもっと我侭を言って欲しいんだよ。


……なんてな。
もっともらしい理由をつけてみても、結局俺はおまえとただ文のやりとりをしたいだけなのかもしれねえ。
俺はおまえの書く字が好きだし、文なら後で何度も読み直せるからな。

そんなわけで、千鶴。
言いたいことがあるなら直接言やいいし、言いづらいことがあるならここに書くといい。



土方 歳三