チバと初めて出会ったのは、

私が開催した「関西料理を食べる会」でした。


「関西料理」といっても、

大したものでは、ありません。

普通の家庭料理です。

それこそ、『深夜食堂』で出されるような料理です。


いつも、人気は、「粕汁」(かすじる)です。

天皇の料理番と言われたシェフが、

大好物だったのは、奥様が作る「粕汁」だったそうです。

中には、「お母さんに食べさせたい」と言って、

涙ぐむ子もいました。

「色どりが、きれい。」と言われます。

白い大根、赤い京にんじん、

黄色のおあげさん、グレーのこんにゃく、

サーモンピンクの鮭、

それらが、白い粕の中につまっているのです。

最低でも、一人が二杯を食べるので、

かなり多い目に作るようにしています。


出される料理は、すべて、関西の味つけです。

薄口醤油と、みりん、料理酒、こぶだし。



だいたい参加者は、15人から30人です。

その日は、少ないほうで、15人前後でした。

そこに、チバがいたのです。


会場は、いろいろです。

その日は、私が借りている「外国人ハウス」の

一室を借りました。


私が足りないものを、

近所のスーパーに買いにいっている間に、

チバとチバの子分のような男の子は、

すでに部屋に来ていました。

私は、留守を別の子に、

預けておいたのです。


玄関には、男物の靴があり、

一足は、先がとんがっていました。

後で聞いたところ、

チバは、とんがった、紫の靴しか

はかないそうです。

理由は、わかりませんし、

聞きたくは、ありませんでした。


さらに驚いたのは、

チバの容姿です。

背が低く、髪の毛は、かなり前に突き出したリーゼントでした。

チバいわく、

「7、3分けと、6.5、3.5分けとは、違う。

 また、傾斜にも、いろいろと角度があるんだよ。」

ということですが、私たちには、

まったくわかりません。

ただ、わかるのは、

「すごい髪型」、と言うことです。

本当に、その髪型には、驚いてしまいました。

しかも、お世辞にも、

チバを男前とは、呼べません。


チバは、よくしゃべる人間でした。

面白い話を、よくしていました。

問題は、チバの話が笑えないということでした。


その会には、

「トラ年」の子供がほしい彼女も来ていました。

そこで、私たちは、知り合ったわけです。



たとえば、何人かでレストランに行こう、

となったとします。

そのレストランが、四人以上でないと

予約を受け付けてくれない場合なぞは、

チバの出番です。

女性陣は、三名で、一名が足りない時は、

そこで、

「チバ、だね。」となるわけです。

チバに電話すると、すぐにやって来ます。


つづきは、後で。