主演は、蒼井優。

彼女は、綾瀬はるかや仲間由紀恵同様に

決して派手な美人ではない。

どちらかと言えば、地味である。

何人かの女性の中で、

目を引くタイプの美人ではないところが、いい。


好き嫌いは別にして、

神田うのは、人目を引く美人である。

そういうタイプとは、一線を引いている。


竹久夢二や吉行淳之介が

好みそうな、はかなげな感じが全体から漂う。


この話は、【おくりびと】同様、

主役が端正な顔立ちである点が、

不満である。


蒼井優、演じるスズ子は、

つまらないことから、罪を犯して、

前科者となってしまう。

彼女の人生は、ここで、大きくつまずく。


近所の目もあり、

家にいられなくなった彼女は、

必死で百万をためて、

引っ越す。

自分の過去を知らない人のところで、

暮らすのだ。


ところが、ここでは、

彼女の容貌が邪魔をする。

男性が寄ってくる。

男性は、どちらかと言えば、

神田うののような派手な美人よりも、

実は、蒼井優のような美人が、好きな人が多いのだ。

わずらわしくなった彼女は、

引っ越す。


たとえば、

この設定で、主役が、

森三中やハリセンボンのメンバーであれば、

どうか。


多分、彼女たちに声をかける男性は、

極めて少なくなってくる。

どこに行っても、

朝、バイトに出て、

夕方、家に戻る。

この繰り返しだ。

関わりにならずに暮らすことが、

容易にできる。

ところが、

残念ながら、蒼井優、である。


以前、ある事が、報じられた。

一人の女性が、

死後、何日も誰にも見つけられずに、

部屋で放置された。

その後、職場の同僚たちは、

彼女の事をこのように評した。

「彼女は、人との関わりを避けていました。」

この女性の人生が、

どのようなものであったかは、

それ以上は、報じられることは、なかった。


【百万円と苦虫女】という映画の最後が、

暗い印象を残さないところは、

この点に、大きく影響している。


蒼井優のような、地味な美人では、ダメなのだ。

地味な普通な人か、

不細工な人間でないと、

この映画の「人と関わりたくない」と言う

本質が、伝わらない。

そして、そこから、何が生まれるか、観たいのだ。


【おくりびと】も

主役の本木雅弘では、

顔立ちが端正すぎる。

できたら、本木雅弘は、主役ではなく、

別の形で参加した方が、良かった。

私は、想像する。

【おくりびと】の主役が、

小日向文世であることを。

普通の人、あまりにも、普通の人っぽいからこそ、

この映画が活きてくる。


【百万円と苦虫女】も

別版として、本当に誰とも深くかかわることなく、

生きていくものを、観たい。

現在の世の中にとっては、

簡単なことだ。

多くの人間が、人との関わりを欲していながら、

避けている。

「ひきこもり」が典型的な例だ。


この映画に出てくるような、

関西弁で言うところの「イッチョ噛み」の人々は、

そんなに存在しない。

せちがない世の中である。。。