六本木の駅で待ち合わせの後で、
私と、平田と東京の知り合いのAと三人でバーに入った。
マスターは、いた。
彼は、すぐに私の顔を認めた。
相変わらず、お客さんは、たくさんいた。
マスターの客あしらいがいいのも、手伝っているのだろう。
『カウンターで、いい?』
彼は、尋ねた。
私は、うなずいた。
『久しぶりだね。』彼は、私に声をかけた。
けれど、お客さんの対応に追われていた。
私は、Aに今回上京した目的を話した。
Aは、私に、自分の会社で働いたらどうか、と言った。
Aの会社は、最近、できたばかりで、
東証に上場なんて、問題外であった。
A自体は、関西学院大学を出て、別の会社に勤めていたが、
そこを辞めて、今の会社の社長を尊敬して、ついて行った。
『考えてみるわ。』
『いつでも、言ってくれたら、ええし。』
私の友人もAも、意気投合して、
冗談を言い合って、楽しく、話をした。
マスターは、時々、話に入ってきた。
『この間の彼女は?』修子のことを、訊いてきた。
『今回は、一緒に来てへんの。けど、元気やよ。』
『また、忘れずに来てくれて、嬉しいよ。』
お店が終わった後で、私たちは、残って、話をした。
マスターは、自分の理想の店を語った。
「スター・ウォーズ」の何かを例えていた。
私も、修子も、
スピルバーグの映画は、受け入れない。
修子は言った。
『スピルバーグの映画は、遊園地やもん。』
『わかる、わかる。私、遊園地、アカンわ。』
『アンタは、そう言うたら、わかってくれるやろ。
けど、それが、わからん人間が多いのよ。』
だからこそ、友達なのだ。
男性二人は、しばらく、「スター・ウォーズ」の話で盛り上がっていた。
男の人は、「スター・ウォーズ」が好きらしい。