ある時、私たちは神戸の須磨海岸にいた。
修子は、私に言った。
『夕方の海辺って、老若男女関係なく、
 みんな、ロマンチックに見せてくれる。』
私はさらりと彼女に質問した。
『インポでも?』
彼女は、肩を震わせるほど、笑っていた。
『今のは、聞かんかったことにしとくわ。』
『そんだけ、笑おうたら、アカンやろ。』
『笑たことも、忘れて。』
『私が言うたことは、忘れても、
 アンタがそんだけ笑たことは、忘れられへん。
 けど、じゃ、何で、笑たんやと言うことになると、
 結局、そこに、戻るんやなぁ。』
私は、最後に修子に向って、舌を出して、言った。
『これは、一本、やられましたなぁ。』