奥の席に案内された。
そして、メニューが差し出された。
彼は、私たちに申し出た。
『僕が決めていいかな。
 本当は、ワインが飲めればいいんだけど、今日は、やめておこう。
 何か、きらいなものは、ある?』
私たちは、彼に決めてもらうことにした。
多分、それが、一番、間違いがない。
『食事の後、この近くの「庭園美術館」に行こうと思ってるんだ。
 いいかな。』
私たちには、依存がなかった。
『あなたに会ったら、これも話そう、あれも話そう、と考えていたんだけど、
 いざ、会ってみると、何も話せない。
 それが、悔しいんだ。』
彼は、しばらくの沈黙の後に、言った。
私は、空気が薄くなっていくのを感じていた。
息苦しい。
「たまらんなぁ。勘弁してほしい。」そう思っていた。
結局、私は彼の気持ちを利用していることになるのだろうか。
他人から見たら、そうなるだろう。
どうすれば、いいのか。
食後のお茶に関しても、彼は、砂糖もミルクも
きちんと私の好みにして、そっと差し出してくれる。
私の友人には、しない。
彼のレディーファーストは、特定の女性のみに向けられるらしい。