南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は、「深海で探査機をラジコンのように動かす技術」と、言うお話です。

 

通常、水中ではGPSやラジコンなどに使われる電波は、著しく減衰するためほぼ使えません。

そのため、これまでは音波を使って深海探査機との通信を行ってきました。

 

しかし、水中での音波の伝送容量は数十kbpsが限界で、画質の荒い写真を約8秒に1枚送るのがやっとでした。

 

これではリアルタイム性に欠けるため、深海を航行する無人探査機の制御などには使用できません。

 

「止まれ!」と、指令を送ってから数秒後に止まっていたのでは、何かに激突するかもしれません。

 

そこで、音よりも伝送容量の大きなキラキラを使って、制御信号を伝送しようと言うのが今回の研究です。

 

今回の研究の凄いところは、カメラで光の点滅を捉えて、探査機の制御信号に変換する点です。

 

通常、家庭やオフィスで使用されている光ファイバー通信は、光が高速で点滅することで、1と0を表現しています。

 

この1と0の組み合わせで、文字や画像、その他の情報を通信しているのは何とな~く聞いたことがあるかと思います。

 

ところが、自由に泳ぎ回りたい深海探査機にとって、犬のリードのような光ファイバーがあると邪魔になってしまいますアセアセ

 

そこで、光ファイバーを使わずに点滅信号をカメラで直接撮影することで、「潜航」や「前進」などの制御信号に変換して、複数台の水中探査機を同時かつリアルタイムで制御することにお祝い世界で初めて成功しました。

 

つまり、ラジコン(Radio Control)ならぬ、

オプコン!!(Optical Control)

 

これまでの光無線通信は、専用の機器を搭載する必要がりましたが、今回の研究成果を応用することで、元から探査機に搭載されている普通のカメラなどでも対応することも可能です。

 

↑ 実験水槽での実験の様子

 

↑ 今回のために手作りしたROV

(部材の切り出し穴開け組立まで全て手作り!)

 

 
↑ 水槽内で2台のROVを光制御する様子

 

 

これらの技術を活用することで、有線誘導に頼ることなく水中機器を自由に動かすことが可能になります。

 

日本がBeyond 5G技術で世界を牽引できるよう、これからも水中機器を通して社会課題に挑戦し続けます!

 

 

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