南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。
今回は知る人ぞ知る?マニアックなポイントのご紹介。日本の南極観測の象徴ともいうべき南極観測船「しらせ」のお話。
南極観測船「しらせ」は南極への人員輸送や物資輸送を担う調査船ですが、任務の特殊性から運航は海上自衛隊が担っています。
そのため、文部科学省では「南極観測船」と呼び、自衛隊では「砕氷艦」と呼ぶ珍しい船です。
しかし、船である以上、車で言う車検を毎年受けなければいけません。これを年次検査(通称:年検)と言い「しらせ」も例外ではありません。
では、どこで検査を受けるのか?車なら買ったディーラーい持って行けばやってくれます。
現在の2代目「しらせ」はユニバーサル造船の舞鶴事業所で建造されましたが、年検はジャパンマリンユナイテッド(JMU)の鶴見工場(横浜)で例年行われます。
JMU鶴見工場は京浜工業地帯にあるため、海からしか見ることが出来ませんが、たまに船で近くに行くと見ることが出来ます。
2019年度に実施した公開講座で実施した本学実習船での体験乗船では、京浜運河を航行した際に後ろ姿を見ることが出来ました。
しかし、実は陸からも見えるポイントがあり、京浜運河と並行して走る湾岸線(つばさ大橋付近)からチラっと見ることが出来ます。
(運転中の脇見運転は事故の元なので絶対しないでください!)
先日、たまたまリムジンで通る機会があり窓から眺めていると、修繕が終わってドックから出た「しらせ」を見ることができました。
煙突からの排熱が見られたので、既にエンジンに火が入っている状態のようで、間もなく横須賀に回航されると思われます。
昨年の第62次隊は新型コロナウイルスの影響で、観測隊の規模が大幅に縮小され観測日数も削減されました。
今年度は昨年の観測で得た教訓を元に、観測項目を戻す試みがされる予定です。
「しらせ」は2021年11月10日に南極に向けて出港する予定です。南極OBとして第63次隊の活躍と成功を祈っています!