南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。
今回は、「水中遺跡の調査」に関するお話し。
遺跡と聞くと、古墳や住居跡、城跡などが思い付くと思いますが、実は水中にも遺跡があり、日本には500ヵ所以上あると言われています。
この辺りは本学にも専門家の先生がいらっしゃるので、詳しい説明はオープンキャンパスなど何かの機会に聞いて頂くとして(笑)、ここでは2014年に奄美大島で実施した水中遺跡調査の様子をご紹介しようと思います。
↑ 奄美大島空港すぐ近くの海
奄美大島には「倉木崎海底遺跡」(宇検村)があり、1990年代から調査が行われてきました。
海底からは12世紀後半~13世紀初頭の中国製の青磁などが数千点発見されており、その中には天目碗の破片などもあったそうです。
既に遺跡として認定を受けているため、新しい発見は無いように思われがちですが、2014年に行ったのはこの遺跡を対象として、水中ロボットを使った効率的な調査を検証する実験でした。
↑ 水中遺跡調査用に開発した水中ロボット(ROV)
我々は水中ロボットを使った海底マッピングの実証実験を行うため、小型の漁船に水中ロボットを載せて、いざ!出発!エメラルドのキレイな海にROVを潜らせました。
↑ 奄美大島のエメラルドグリーンのキレイな海を行くROV
遺物は潜航後すぐに見つかりました。まずは大きな船の錨。これは鉄製のようなので当時のモノではなく、比較的新しいもののようです。
↑ 船の錨(写真中央やや右)
さらに深場に潜っていくと、海底には回収されなかった皿などの破片がまだたくさん落ちている状態です。
今回は海底マッピングが目的だったので発掘許可が出ておらず、埋まっている遺物を掘り出すことはできませんでしたが、それでも多くの遺物を見ることができ、数百年もの間、この海底に眠っていたのかと思うと歴史のロマンを感じます。(勝手に泥を除けるだけでも盗掘になるのでご注意を!)
↑ 海底に落ちている皿と思われる遺物(高台の部分)
奄美大島はこの時に初めて行きましたが、マングローブ林があったりダイビングスポットがあったりと、とてもいい場所でした。
一番のお気に入りは「エブリワン」と言うコンビニの「ポークサンドセット」(当時320円)で、調査期間中のお昼には毎日食べていました。
↑ 調査の合間の昼食はエブリワンのポークサンドセット(激ウマ)
これを機に、鹿児島とご縁があり、市内や枕崎だけでなく、当ブログでも以前ご紹介した薩摩硫黄島などにも行く機会に恵まれました。
奄美大島も、また機会があればぜひ行きたい島です。