南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は「南極での年越し」がテーマです。

 

少し気が早いですが、11月に入り今年も残すところ2ヵ月弱と、ゴールが見え始めました。

そんな11月中旬、南極観測隊員は日本から約14000km離れた南極に向けて出発します。

帰国は夏隊は翌年の3月、越冬隊は翌々年の3月、つまり南極で新年を迎えます。

 

南極での年越しはどんな雰囲気なのか?を少しご紹介します。

 

 

南極は日本と時差があるため、紅白歌合戦が始まるころはまだ真昼間。(白夜なのでずっと昼間のようですが・・・)

日本では家の大掃除も終わり一段落と言う感じですが、観測隊員は「しらせ」が日本に戻るまでの限られた期間で業務を完遂させなければならないため、仕事納めと言う概念はありません。チームによっては野外で観測しながら年を越すこともあります。

 

とはいえ、一応、南極にもお正月の雰囲気は訪れます。

12月31日になると隊員公室の前に門松が飾られます。この門松、先日もニュースに出ていましたが、毎年、宇和島の青年会議所が送ってくださるもので、昭和49年から続けられています。

 

 

 

他にも正月気分を盛り上げてくれるアイテムとして、除夜の鐘も登場します。若干、小さいようには見えますが、海上自衛隊の方が空いた時間を活用して作ってくださる渾身の力作です。

 

 

鐘の音はやや軽め。「ゴォーン」という聞きなれた音ではなく、「チィーン」と風鈴のようなかわいい音がします。

 

おせち料理も振舞われます。家族や仲間と離れて遠い南極の地で頑張る隊員に、少しでも日本と同じような気分を味わってもらおうと、海上自衛隊の司厨さんが愛情込めて作ってくださいます。

 

今年出発する第62次隊は、新型コロナの影響で隊員も少なく、南極での滞在時間も短くなっていますが、ぜひ頑張って任務を完遂して無事に戻ってきて欲しいと祈っています。

 

 

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