南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は「南極で紅白歌合戦は見れるのか!?」がテーマです。

 

日本から14000km離れた南極でテレビは見れるのか?

南極観測隊は11月下旬に日本を出発し、夏隊は4か月、越冬隊は1年4か月を南極で過ごすため、南極で年越しをします。つまり、夏隊は1回、越冬隊は2回、南極で除夜の鐘を突くことになりますが、果たして、大晦日の一大イベントともいうべき紅白歌合戦は見ることが出来るのか?!

 

 

まず、船に乗って海に出ると困ることの1つが電波が繋がらないことです。最近は衛星を通じてスマホで家族や友人に連絡できるようにりましたが、1日に通信できる容量が定められていたり船によって通信設備がなかったりと、まだまだ大海原で通信を確保するのは難しいのが現状です。

 

それはテレビでも同じで、日本の沿岸を離れると全くテレビが入らなくなります。BSアンテナを搭載している船舶では、BS番組を見れるケースもありますが、サービスエリアが日本近海に限られ、太平洋の真ん中ではほぼ映りません。

じゃあ、南極で紅白歌合戦は見れるの!?と、言うと、もちろん、BSアンテナではサービスエリア外だし、そもそも時差があるため、日本で紅白が始まる時間は、南極ではまだまだ真昼間(白夜なので夜が無い!)で、皆、絶賛活動中!なので、「紅白歌合戦」は、当然、見ることはできませんでした。

 

しかし、オンデマンドサービスが普及してきた近年では、インターネットを通じてさまざまなサービスを受けることが出来るようになりました。幸い、昭和基地はインターネットが通じていますし、基地沖に接岸中の「しらせ」でも基地のネットワークが使えます。そこで、自分が南極に行っていた時にある実験をしました。

 

 

それは・・・南極でRadikoは聞けるのか!?

 

 

Radikoとはインターネットを使ってラジオを聞けるサービスで、ほぼリアルタイムで各地の放送を聞くことが出来ます。自身のネット接続エリアから視聴できるラジオ局が選べて、例えば、東京にいると関東圏のラジオをほぼ聞くことが出来ます。(全国の放送をどこでも聞くことができる有料サービスもあります)

 

じゃあ、南極でRadikoを聞いたらどこのエリアが聞けるのか?そもそも南極でRadikoは聞けるのか?と、言う疑問に至りました。だったら実験してみよう!と、言うことで船内からネットに繋いで、日本で毎日聞いてるラジオ番組(TOKYO FM)を選ぶ・・・

 

Radikoのシステムで言うと、TOKYO FMを聞けるのは、自分が関東圏からネットに接続している場合のみ・・・果たして結果は・・・?

 

 

 

聞ける!!!!!

 

 

なんと!南極でTOKYO FMが聞けるのです!

南極でスカロケ(Skyrocket Company)が聞ける!?

 

実は、南極・昭和基地の通信は、人工衛星を使っており、東京・立川の極地研を経由してネットに繋がっています。そのため、所在地はTOKYOになるのです。

今年からNHKはネット同時配信「NHKプラス」を開始!1週間は番組表から遡って視聴できるという神仕様。つまり、今年、南極に行く人は、紅白歌合戦は見れるのです!

 

が!!!

負荷がかかる通信は基本的にNGとされているので、Radikoの音声データと言えど、長時間にわたり聞くことはできません。NHKプラスも、通信容量の関係で恐らく見れないんでしょうし、野外観測地と呼ばれる昭和基地から離れた観測地点では、インターネットすら通じていないのが現状です。

いつか自分がまた南極に行くことがあれば、その時には通信の問題が解決されていることを祈ります。