最近、深海の映像や写真がテレビなどで頻繁に取り上げられるようになり、水族館などにも深海コーナーができるなど、10年前とは比べ物にならないほど深海が身近な存在になってきました。
しかし、テレビやネットでみる深海魚の映像がどうやって撮影されているのか?そもそも水中調査はどうやって行われているのか?については、あまり取り上げられることがありません。
水族館に来る子供たちの中には、生物もロボットも好きという子が少なくありません。しかし、生物が見たいから「水族館」、ロボットが見たいから「科学館」と言う固定概念に陥りがちで、この隔たりが横断的研究と言う発想の妨げになっている場合があります。

↑名古屋市立科学館に屋外展示中の水中ロボット「ドルフィン3K」
でも、実際に生物の勉強を始めてみると、使用する機器は最先端のロボットだったり、逆にロボットを作る研究をしてみると、使用する現場は深海だったりと、お互いの事を知らないと研究や勉強が進まないといったケースに直面します。
そこで、海洋調査や水中ロボットをもっと身近に感じて知ってもらうため、水中ロボットの体験操縦会や深海探査機の開発者による講演会などを行っています。
2016年には大分県の「マリーンパレス水族館うみたまご」で大規模な深海イベント「マリンサイエンス~海の科学展~」を行いました。開催期間中には水中ロボットの実機展示や生物の展示、水中ロボットの体験操縦、開発者によるトークなどを行いました。
↑うみたまごで実施した「マリンサイエンス~海の科学展~」の実機展示
さらに2018年には鹿児島県の「いおワールド鹿児島水族館」、2019年には「東京海洋大学」の海の日記念行事において、水中ロボットの体験操縦会「目指せ深海のパイロット!ROV教習所」を実施しました。
子供たちが自ら水中ロボット(ROV)を操縦して、画面の映像だけを頼りに制限時間内にプールの中に設置された深海魚などの写真を探すミッションに挑みます。
ラジコンやリモコンで動く陸上のロボットは触れたことがあっても、水中を縦横無尽に動き回るロボットを触るのは初めてという子が多く、みんな目を輝かせて操縦に集中していました。
この経験が、将来の進路選択の時に「そう言えば昔、水族館でロボットで遊んだな」と思い出し、「深海=生物=ロボット」と結び付いてくれれば良いなと思います。


