南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。
今回は「南極観測船での生活」がテーマです。
南極観測隊が乗船する「しらせ」での生活は、自室とトイレや風呂、食堂を行き来するだけの生活で、南極からの復路ではこの生活が約6週間も続きます。そんな閉鎖的な環境で隊員たちはどんな生活送っているのか?!

「南極で紅白歌合戦は見れるのか!?」
https://ameblo.jp/underwater-robots/entry-12628743395.html

ある意味、テレワークで家にこもっているのに似ていて、何かを成し遂げようと思えば何かしら出来てしまう日数。実際に小説を1本書き上げた猛者もいます。
そんな南極の復路では脳が衰えないよう(?)に催し物が目白押しです。「南極大学」と呼ばれる「南極で何してきたのか?」を紹介する講義があったり、各自の腕前を披露する「南極工芸展」なる催しがあったりと、参加しようと言う意思があれば、意外とやることがあります。
今年の年末は例年と違っているかもしれませんが、溜まっていく一方の「何か」を片付けたりリセットしたりする良い機会だと思います。実際、南極に行っていた4か月で溜まっていた原稿を片付け、今後の研究について頭の中を整理できました。
そんな南極の復路では脳が衰えないよう(?)に催し物が目白押しです。「南極大学」と呼ばれる「南極で何してきたのか?」を紹介する講義があったり、各自の腕前を披露する「南極工芸展」なる催しがあったりと、参加しようと言う意思があれば、意外とやることがあります。
特に、南極工芸展は腕に覚えのある人が、仕事の合間に時間を見つけて何か(絵でも革細工でも何でもいい)を作って競う催しで上位3名が表彰されます。
そんな訳で、筆者もこれに参加することにしました。復路の途中で「南極工芸展」の存在を知り、自分たちが今まさに乗っている「しらせ」作ることにしました。南極観測船は色んなメーカーからプラモデルが発売されてはいますが、接着剤や塗料が必要で、当然、そんな道具は何も持ってきていないし、どうせなら大きい物が作りたいと言う欲望が沸きました。
そんな訳で、筆者もこれに参加することにしました。復路の途中で「南極工芸展」の存在を知り、自分たちが今まさに乗っている「しらせ」作ることにしました。南極観測船は色んなメーカーからプラモデルが発売されてはいますが、接着剤や塗料が必要で、当然、そんな道具は何も持ってきていないし、どうせなら大きい物が作りたいと言う欲望が沸きました。
とはいえ、設計図も材料もありません。そんな訳で、まずは材料を集めて図面を描くところから開始!船にはたいてい「一般配置図」と呼ばれるガチ図面のような物が廊下などに掲げられていることが多く、そこには船の全長や全幅、吃水などの情報も記載されています。そのため、ある程度ざっくりとした図面を描くことが出来るのですが、あくまでざっくり。あとは撮った写真や自分のカンを頼りに、揺れる船内でそれらしい図面を描いていきます。
図面が出来たら次は部品の分割構成を考えます。船は凹凸など複雑な形状が多いため、どこの部品をどういう形にすれば良いかを考えないと、船体ドーン!上部構造物ドーン!と言った具合に、なんだか分からないそれっぽい塊にしかなりません。そのため、写真を見ながらどこがどんな形状になってるかを図面に落とし込んで、所謂、展開図を作ります。ここでも小学校の算数が役に立ちます。あとは展開図を元に材料を切り出して貼り付け行けばOK!
今回、南極工芸展に向けて作った「しらせ」は、ほぼ全て廃段ボールで、細かな部分はストローだったり割りばしだったりねじりっこの針金だったりで構成されています。船体はたまたま持ってたオレンジのマーカーで塗装し、船体中央に搭載されているコンテナは青か緑と決まっているため、目に留まった「JKワイパー」(紙ウエスの一種、キムワイプの親戚と言った方が分かり易いかも)の箱で再現。ヘリの機首部にあるレスキューオレンジはオーストラリアまでの飛行機移動の際にバッグに着けられた「Two Man Lift」のタグから切り出しました。
こうして、揺れる船内で約3週間かけて文字通りゼロからチマチマ作り上げた「しらせ」は、見事!南極工芸展では選外となりましたが、まさに時間があるときにしかできない工作で、長い船での生活で頭が鈍るのを防ぐには良かったと思います。

今回、南極工芸展に向けて作った「しらせ」は、ほぼ全て廃段ボールで、細かな部分はストローだったり割りばしだったりねじりっこの針金だったりで構成されています。船体はたまたま持ってたオレンジのマーカーで塗装し、船体中央に搭載されているコンテナは青か緑と決まっているため、目に留まった「JKワイパー」(紙ウエスの一種、キムワイプの親戚と言った方が分かり易いかも)の箱で再現。ヘリの機首部にあるレスキューオレンジはオーストラリアまでの飛行機移動の際にバッグに着けられた「Two Man Lift」のタグから切り出しました。

船や南極での限定的な生活に比べれば、家ではインターネットもつながるしテレビも見れるし好きな物を好きなときに口にできる。船では風呂に入るのすら節水の厳しいお作法がありますが、家じゃ水も使い放題(水道料金は気になるが・・・)。おまけに、ちゃんと休みの日もあって、ぼーっとしてても怒られない。
そう考えたら、たまには家でのんびりしながら何かに取り組む年末年始も悪くないんじゃない?と、思う今日このごろです。