南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。

 

今回は「赤い海に棲息する生物!」がテーマです。

 

海と言うと「ブルー」や「グリーン」を思い浮かべる人が多いと思いますが、日本には不思議な「真っ赤な海」があります。

 

さまざまな「極地」に水中ロボットを潜らせてきた当研究室ですが、その中でも「キレイ」ではなく「スゴイ!!」という言葉しか出ないほどスゴイ場所、それが鹿児島県枕崎の沖合約50kmにある「薩摩硫黄島」です。

 

海底にある鬼界カルデラの外輪山の一部で、島のシンボルである硫黄岳からはその名の通り硫黄が吹き出し、港に入ると温泉のニオイがします。

 

 

そして何より港の海の色に驚きます。鹿児島から船で島へ行く際は、島の周囲を迂回して南側から入港しますが、それまでは南の島の青い海が広がっています。しかし、港に入るとその様子に圧倒されます。

 

 

海底には水酸化鉄を吹き出すチムニー(熱水噴出孔)があり、その影響で港が真っ赤に染まっているのです。潮に満ち引きによって赤い海のエリアが変わり、潮が引いてるときは湾のすぐ入り口付近まで赤い海が広がります。

 

 

そして、薩摩硫黄島の不思議な海が赤い海だけではありません。島の東側と北側沿岸には白い海が広がっています。アルミ成分が海に流れ出したことで、青い海と混ざり合ってオーロラキラキラのようになっています。

 

 

では、この海にはどんな生物がいるのか?そもそも生物はいるのか?2017年、当研究室では鹿児島水産高校の生徒と共にこの島の調査を行いました。

 

調査は青い海と赤い海が混ざり合う境界の部分はどうなっているのか?水酸化鉄が混じる極限環境とも言える海に棲む生物はいるのか?!

 

また島の外側の深海(鬼界カルデラ)にはどんな生物がいるのか?!水中調査機器を投入して調べました。

 

 

 

なんと、そこには赤い海を避けるように境界付近を泳ぐ魚の姿がありました。また、深海200m付近では深海ザメが装置を振り回す姿が映し出されました。赤い不思議な海にはさまざまな生物が棲息していることが分かりました。

 

当研究室はこれからも世界中の極限環境を調査していきます。