勝率からレーティングを推定した値は、変動が大きいのですが、レーティングの値は比較的滑らかな曲線になります。
これは勝率を対数で写像するからでしょうね。
xが0の近傍では、x~log(x)となるのですが、xが大きくなるに従い、y=xの直線から外れていくことになります。
勝率とレーティングが近い場合は、比較的ちゃんと反映できるですが、突然強くなったような場合に、それを急速に反映させないようにしているとも言えます。
普通なら、急に強くなったり弱くなったりすることはないという考えなんでしょうけど、将棋の場合、好不調の波や戦型の当たりはずれ、体調等でかなり影響を受けて、その時の強さは、かなりばらつきがあるというかもしれません。それがあるとしても、レーティングの値としては、短期的な変動を反映しにくくして、長期間の平均値という値として考えるのがよいのでしょう。平均値としてこれが有力な指標であることは間違いなさそうです。
こんなシミュレーションをしてみました。
レーティング1800の実力を持つ人が1500に格付けされ、レーティング1800の人と何試合すれば、1800になるのかという問題です。
実力1800の人が1800の人と試合をするので勝率は5割ですから、1勝1敗の繰り返しにしておきます。そうやって計算してみると、どうも120試合ぐらいやらないと、それなりの値にはならないようです。
ここには四捨五入の問題もあって、最終的にどこに収束するかは正確には分かりませんが、120試合ぐらいで安定していそうです。
Rating=1600だと、70試合ぐらい、Rating=2000の場合だと160試合ぐらいで安定しそうです。
TOP棋士が年間50試合前後ということを考えると、これはちょっと収束が遅すぎるか。。。という気もしてきました。
ただ、普通の人なら、好不調の波を含めて、実力も上下するので、ちょっと位相が遅れるかもしれませんが、なんとなくの平均値として使えそうです。
しかし、藤井竜王の場合、どうも違和感がある、レーティング以上の期待値がありそうみたいな感じになってしまいます。
成長途中であれば、イロレーティングの値が追随できず、間違いなく乖離が生じます。おそらく、現時点でも、まだレーティングとは乖離があるのかもしれません。
