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Georgeのゆーとぴあ1

連載淫猥小説『朝焼けのGeorge』は不定期更新です。
厳しいご意見、出演希望、画像提供を随時受け付けております。
妄想の世界をたっぷりご堪能ください。
姉妹ストーリー『Members of Site』ほかは http://blog.livedoor.jp/undertaker2005/ です。

夫、昌明との3年ぶり(正確には1週間ぶりだが)の交わりは、泉美から罪悪感を洗い流した。
「昨夜で気付くかと思ったのに…。もうあいつのこと気にするのやめた」
次に丈二に会った時には、自分からアタックしてみようと決めた。
丈二との約束まで1週間。泉美には長い長い1週間だった。
毎週楽しみにしている菓子づくり教室に行っても、何をするのも上の空だった。
教室で知り合った友人の由美にいぶかしがられる始末。
教室後の恒例のカフェ巡りも忘れ、帰り際に由美に催促された。
今日は駅ビル内にオープンしたばかりの小さな喫茶店に寄った。
お気に入りのカップとソーサーをキープできるシステムが話題になっていた。
自分で焼いた陶器のマグカップをキープしている客もあるという。
ウェッジウッドのティーカップ&ソーサーをオーダーする。
22金が贅沢に使われたコロンビアパウダーはウェッジウッドを代表するデザインだ。
泉美はこの青が好きだった。
セイロンティーを味わいながら、いよいよ明日に迫った丈二との約束に思いを馳せた。
「ねぇ、泉美、今日はどうしたの?心ここにあらずって感じよ」
「え、そうね。ちょっと体調が思わしくないの。休もうかとも思ったんだけど」
「そうなの?じゃあ、早めに切り上げて帰りましょうか」
「悪いわね、そうさせてもらうわ」
勘定を済ませ、バス停に向かう。
ふと見上げた駅ビルの窓に、丈二の顔が見えたような気がした。
「いけない、いけない。幻覚まで見えてきた」
泉美はダウンジャケットの衿に首を埋め、バス停へと急いだ。
だが、泉美が幻覚だと思った丈二の顔は、実は本物だった。
駅ビル2階にある小児科医院の入口で、従業員の薫と丈二が鉢合わせしたところだった。
メビウスの輪のように、男女が入り乱れ、表と裏の区別もつかなくなるほどに交錯する。
丈二を巡る人間関係は、時空を歪め、人の思いや痛みを無視して回転を始めていた。
何が正しく、何が間違っているのか、それは人によって違う。
常識と非常識、倫理と背徳、それらは関わる人によって入れ替わり、どちらが正義でどちらが悪徳なのか、
誰にも判断ができなくなるほど、この世の中は混沌としている。
丈二という存在は、そんな世の中の楽な部分をさらけ出すことにより、
気楽さと快楽を周囲にじわじわと広げていっていた。
泉美もそんな輪の中に、今まさに自ら入ろうとしていた。
団地内の自宅には、今日も夫の姿はない。
1人には広すぎる我が家を掃除しながら、自分の楽しみとは何か、
これから何を目標に生きていけばいいのかを、ふと考え、暗澹たる気持になっていった。
床に座り込んでうつろな目を天井に向け、ふと我に返る。
思いなおしてスカートについたホコリを払い、いつもの笑顔に戻った泉美は、明日の約束に思いを馳せる。
「何を着て行こうかしら」
鼻歌交じりにクローゼットを物色する姿は、ついさっきまでの暗鬱な泉美とは別人だった。
翌日、朝から上機嫌の泉美は、夫を嵌めた時のメイキャップアーティストに連絡。
「またお願いしたいんだけど、今日は大丈夫?」
無理な相談だと知りつつ、拝み倒すようにして了解させた。
前回のように化けるというほどではないが、10歳は若返った自分の顔を鏡に見て満足した。
そのまま自宅には帰らず、丈二との約束のレストランへタクシーで向かう。
少し早めだが、食事のあとのことを考えると、少しでも時間を大事にしたかった。
泉美の正体を知った丈二と、久々に夫に抱かれたことで別の男への興味を目覚めさせた泉美。
双方の思惑は一致しているのだが、そこへ至るために策略を巡らせ合うという展開。
本来なら前置きの食事は必要ないはずなのだが、相手の思いを知らないだけに、
巡らされる策略と展開は意外な方向へ向かう可能性も秘めていた。