予告編動画観れます。主題歌の奥田民生「サラウンド」聴けます。
【スタッフ&キャスト】
監督・脚本:沖田修一
原作:西村淳
主題歌:ユニコーン
出演:堺雅人/生瀬勝久/きたろう/高良健吾/豊原功輔/西田尚美/古館寛治/黒田大輔/小浜正寛ほか
【ストーリー】
1997年、南極。昭和基地から1,000キロ離れた高地にある南極ドームふじ基地では、8人の隊員が一年間の共同生活を送っていた。その1人、西村(堺雅人)は隊員たちの毎日の食事を用意する調理担当。だが、食材は冷凍、乾燥、缶詰が基本。凍ったらダメになるものは用意していない。特殊な場所だけに様々な制約を受ける中で、いかに隊員たちにおいしい食事を届けるか。それが彼の仕事だった。ある日の料理は伊勢海老を使った特大エビフライ。それを見た隊員たちは唖然とする。家族を日本に残してきた西村。妻のみゆき(西田尚美)と娘の友花(小野花梨)、赤ん坊の航。家族のことを想う西村だったが、家族から届くファックスを見て落ち込む。“お父さんがいなくなってから、毎日が楽しくてしょうがありません”。雪氷学者の本さん(生瀬勝久)の誕生日には、牛肉の丸焼きがテーブルに並ぶ。歓声を挙げた隊員たちは、飲めや歌えやの大騒ぎ。そして冬至には、全員が正装してフレンチのフルコースに舌鼓。時が経ち、次第に髪はボサボサ、髭も伸び放題。保存していた食材も次第に減ってゆく。ラーメンがないと不満を漏らす気象学者のタイチョー(きたろう)。仕事をサボって遊んでいた主任(古舘寛治)は、平さん(小浜正寛)に追いかけ廻される。その騒動で揉み合う中、お守り代わりに持ち歩いていた友花の乳歯がなくなってしまう。フテ寝する西村だったが、自分で料理を作ろうと悪戦苦闘する隊員たちの姿を見て、再び厨房へ。嬉しそうに彼を迎え入れる隊員たち。ある日、意を決した西村は、ありあわせの材料で手打ちラーメンを作る。恐る恐る箸をつけたタイチョーが笑い出す。“ラーメンだ!”やがて訪れる帰国のとき。食堂をきれいに片付け、包丁をしまってキッチンを後にする。出迎えでごった返す空港。家族の姿を見つけた西村は走り出す。そして、すべてがごく普通の日常へと戻っていくのだった。(サイトより)
南極という非日常の中の日常 感・想・文・FRAGILE
海上保安庁の料理担当の西村を含めた8人の男たちの南極観測基地での一年間の共同生活を描く今作品。
南極という非日常が舞台だが、描かれているのは淡々とした日常。
観測隊員の仕事は僅かしか描かれないし、南極ならではの冒険だとかロマンだとかも描かれない。
淡々とした南極での男たちの単身赴任生活がこの映画の見所なのだ。
家族や恋人、住み慣れた環境から離れて暮らす単身赴任生活。
そんな単身赴任生活も時が流れれば、それが普通になり、日常化する。南極であっても同じことだ。
彼らの日常は、年齢も背景も職種も違うおじさん8人の共同生活。
その生活ぶりはコントのよう。
それぞれのキャラが共同生活ゆえに浮かび上がり、その関係や掛け合いはくすくすと笑える。
そして、なんといっても食事だ。
彼らにとって食事は単に腹を満たすものではなく、心の栄養源であり薬で、彼らの関係を滑らかにする潤滑油であり、過酷な環境の中での希望だ。(食事形式の変化で彼らの関係性の変化をあらわしているのもおもしろい)
それが実は、「食の本質」なのではないかということを今作は気付かせてくれる。
ひとりで食べる食事より、みんなで食卓を囲む食事。
おいしさというのは、料理自体のおいしさも当然あるけれど、同じものを食べ同じ場所を時間を分かち合えることで何倍も増すものだ。また、食は心を満たし、明日もがんばろうという希望もくれる。
そんな当たり前に気付かせてくれるのは、「南極という非日常的な背景の中での日常」を描いているからだろう。
そこで描かれる日常は、僕らの普段の日常生活(飽食の社会)で背景として隠れてしまいがちな大切なモノを浮かび上がらせてくれる。(映画を見ればいわんとしていることは伝わるはずです)
南極という舞台だから見えてくるのは、飽食社会ゆえに見失いがちな食の本質。
いや、幸せの見つけ方といっても言いすぎではないだろう。
幸せとは何か。
わからないなら、おそらく生きてくなかで余計な贅肉がついてしまっているからだと思う。
とりあえず原点回帰して見ればいい。
見えてくるものがあるはずだ。
南極から帰ってきて、元の日常生活に戻って、遊園地で家族と一緒に食べるハンバーガーは、南極で食べたどんなごはんよりおいしかったはずだ。
そのラストシーンは、大切な人と一緒に食べると、どんなものでもおいしく感じたる不思議を十分すぎるほど伝えてくれる。
人は人との関係性の中で生きていて、そこに喜びを見いだす。
たとえジャンクフード(現代社会の象徴的食べ物)であろうと、大切な人と食べれば、どんな場所でもどんなものでも、自然と笑顔がこぼれて元気になれる「おいしいごはん」だと改めて僕に教えてくれた。
おいしいごはん食べてますか?