FRAGILE-ビフォア・サンライズ



初の海外作品の紹介です。

『ビフォア・サンライズ』『ビフォア・サンセット』の2作品。



両作品とも監督・主演は同じ。

監督はリチャード・リンクレイター 。主演はイーサン・ホークとジュリー・デルビー。


ほぼ全編に渡り、ふたりの男女の会話で成り立っています。

(会話についていけないと退屈かもしれない)


あと主人公の男性は自分の運命的な出会いを小説にするくらいのナルシシストな面があるので、そういうところも好き嫌いあるでしょうね。自分なりに、すぐさま物語をつくって、その主人公を演じる面が強いということです。

でも、こういう運命的な出会いと思いこめるような体験をするとナルくん、ナルちゃんになるのも人間かなと思います。


【見どころ】



①ふたりの会話。

この作品は、会話が主です。その背景に美しい景色が音楽のように流れていきます。

人生について、恋愛について、価値観について、過去、現在、未来について、語り合う。


③限られた時間

朝日が昇るまでの限られた時間。日が沈むまでの限られた時間。

限られた時間の中で、ふたりはそれぞれの想いを伝えようとします。


③9年の時の流れ。

『ビフォア・サンライズ』から『ビフォア・サンセット』までは、物語の中で9年の歳月が流れているのですが、現実でも9年経っているので、ふたりのいろいろな意味での変化が楽しめる。


④甘い夢とほろ苦い現実。
2作品は、偶然出会った男女の一夜限りの恋を描いた『ビフォア・サンライズ』と、出会いから9年後の再会を描いた『ビフォア・サンセット』ですが、言いかえると、甘い夢のようなロマンチックな一夜を描いた前者と、ほろ苦く思い通りにいかない現実を描いた後者とも言えます。






【ビフォア・サンライズ(1995年公開)】



ユーロトレインの車内で偶然出会ったアメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)とフランス人のセリーヌ(ジュリー・デルピー)。

意気投合したふたりは、ウィーンで途中下車し、翌日の朝の汽車の時間までのあいだ、会話を重ね、お互いを知っていく。

そして日が昇り…。

惹かれあったふたりは、半年後に会う約束をして別れる…。


ビフォア・サンライズ 恋人までの距離



【ビフォア・サンセット(2004年公開の続編)】

出会いから9年後の二人。

かなわなかった約束を胸に9年前の経験を小説にしたジェシーは、プロモーションで訪れたパリの書店でセリーヌと再会する。

ジェシーがフランスを発つ飛行機までの85分、ふたりは思い出を語り合う。

パリの街を散策しながら、運命的な出会いを引き摺る大人の2人が出す答えは別れなのか、それとも・・・・。



ビフォア・サンセット







ビフォア・サンセット/ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 ツインパック


【話はズレるけど…】

昔、恋した人と再会するというと、今って「同窓会ブーム」らしいですね。

それは、「時間の堆積」「過去の美化」「輝きを取り戻したい」「同じ時代、過去の共有」「ほんとうの顔を知っていると思える存在」ということで説明できるかもしれませんね。


なかなか時間を重ねて信頼関係やなんかを築きにくくて、友だちも出来にくいし、日常で気になる人も実はどういう人なのか何を考えてるのかってのも見えにくいし、信用できないし不安なことばっかりで。

生きてきて、思い通りにいかないことばっかりで「こんなはずじゃ…」って思ったり、「もしもあの時、ああしてれば…」とか考えちゃったり。

昔の自分は輝いてたなとか、自由だったなとか、ほんとうの自分でいられたなとか、夢も希望もあったなとか思いがちだし。ドキドキするようなこともなくなっていて。


そんな過去を現在を共有しやすくて、自分のほんとうの顔を知っているとか思える人とは関係は築きやすいし、無理もしないでよかったりするし、過去の輝いていた自分を再体験できたりすると思えたりするから「同窓会ブーム」なのかもね。

そういうことって昔ながらの田舎じゃ普通だった。

昔の自分を知られているから、かっこつけても大人ぶっても仕方ないような関係。

感情的なつながり。


そういうのが失われていくと、懐かしくなるんだろうなぁ。

時代が、環境が、どんどん変わっていっても、時間の積み重ねによる信頼や感情的なつながりを求めるのが人間なんですね。


だけど、とくに現代は、再会で起こりやすい「退行」が、自分を相手を狂わせるという悪い方向にあらわれやすい時代なのかもしれません。過去は過去なんだよね、やっぱ。だから、何かを期待すると火傷しますぞ、と僕は思うのでした。


そんなことをふと思った『ビフォア・サンライズ』『ビフォア・サンセット』でした。